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日弁連が「共通番号」法案成立に対する会長声明を発表

日本弁護士連合会(日弁連)が、「共通番号」法案成立に対する会長声明を発表しましたのでお知らせします。

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5月24日、いわゆる共通番号法(正式名称「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」)案及び関連法案が参議院本会議で可決され、成立した。

当連合会は、本法案が、種々の問題点を内包する制度を創設するものであるため、拙速な法制化は将来に重大な禍根を残すことになるとして、その国会提出に強く反対し、廃案を求めてきた。

その問題点は、第一に、プライバシー権侵害の危険性が極めて高いところにある。本法案が創設しようとする共通番号制度は、官と民における、社会保障と税分野の様々な個人データを、生涯不変の1つの背番号(マイナンバー)で管理し、情報提供ネットワークシステムを通じて確実に名寄せ・統合して利用することを可能とするものであり、政府はこれに留まらず、附則で定めた3年後見直しの際には、特に民間分野における利用拡大をも目指している。これにより、自己情報コントロール権は形骸化するとともに、アメリカや韓国など諸外国において深刻な社会問題になっている大量の情報漏洩や、なりすましなどのプライバシー侵害のリスクは、極めて高くなる。

第二に、制度創設の目的が極めて曖昧であり、本法案の国会質疑の中でも具体的な目的は何ら示されなかったことである。当連合会は、法案検討の段階から、マイナンバーを導入しても所得の正確な把握は不可能であること、新たな社会保障制度の内容も決まらないうちから税と社会保障の一体改革のためにマイナンバーが必要であるなどとはいえないことなどを指摘してきたが、その点に関する政府の説明はほとんどなかった。諸外国においては共通番号制から分野別番号制に回帰しつつあることの指摘についても、ほとんど検討されなかった。

第三に、制度の費用対効果が具体的に明らかにされなかったことである。本制度は、中心的システム構築に約3000億円、ランニングコストとして年間約300億円程度はかかると言われているが、これらの費用がこの程度に留まるかさえも定かでない上に、政府として責任ある効果の説明は全くなされなかった。「より公平な社会保障の実現」を名目としながら、巨大な「ITハコモノ」となる可能性が極めて高いシステムであると言わざるを得ない。

本法案には、日本社会の今後のあり方や財政に重大な影響を与える問題があるにもかかわらず、十分な審議に基づく抜本的な見直しを行うことなく、国会が拙速に本法案を成立させたことは極めて問題であり、強く抗議する。

当連合会は、今後も以上に指摘した問題点を解消すべく、一層の努力を重ねる決意である。

2013年(平成25年)5月24日

日本弁護士連合会 会長 山岸 憲司

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