〔よしなしごと)『言葉の宝箱』《かくしごと》

※不定期公開

運の良い方、縁の有る方、勘が働く方。

ご覧戴けたら幸いです。

近藤史恵【やらない理由なんて、いくらでも見つかる。やらないことはやることよりも、ずっとずっと簡単】

2025-02-02 22:56:45 | 近藤史恵


『スーツケースの半分は』近藤史恵(祥伝社2015/10/20)

 

勤務形態が異なる擦れ違い夫婦の片割れ29歳の真美が「旅に出よう。目の前の彼女のようにスーツケースを持って」と決意し、
大学時代の友達三人が店だすフリーマーケットで美しいブルーのスーツケースと出逢ったことから動き出す。
 既婚正社員真美、未婚正社員花恵、未婚派遣社員ゆり香、未婚フリーライター悠子、
それぞれ境遇は違うが同年女性の友達四人が織りなす女流作家ならではの描写がある連作短編集。
旅は恋に似ている。


 ・そう自分に言い聞かせて、自分を納得させる。
いつも同じだ。
やらない理由なんて、いくらでも見つかる(略)
やらないことはやることよりも、ずっとずっと簡単だ。
衝動ははやり風邪みたいなものだから、
やり過ごしてしまえば、
そのうちどうでもよくなってしまうのだ P12

 ・やりたいことを誰かの決断にゆだねたまま、
ずっと宙ぶらりんのままするのはいやだ P24



吉永南央【いいかい。これまでの希望に放り出されたら、新しい希望を見つけるの】

2025-02-02 09:54:37 | 吉永南央


『紅雲町珈琲屋こよみ⑩薔薇色に染まる頃』吉永奈央(文藝春秋2022/10/10)

一度は売ったものの手放したことを後悔していた帯留めが戻ってきたと、
旧知の東京のアンティークショップから連絡をもらったお草。
早速その店に向かうが、そこで耳にしたのは顔なじみのバーの雇われ店長が殺されたらしいという話だった。
生前に彼と約束を交わしていたお草はそれを実行に移すが、
その後、新幹線で何者かに追われている様子の母親と少年と隣り合わせる。
そして、その少年を預かることになるが――。
殺された知人、生前の約束と怪しげな現金、最凶の男……。
事件の全貌もわからぬまま少年と逃避行を続けるお草は、どこへ行くのか?


・若い時分は周囲との摩擦も多い。
人の無理解に憤ったり窮屈な思いをしたり P11

・自分の選択がいいのか悪いのか、結果っていつ出るんでしょう P18

・美しいものは人を黙らせる。
敬意を抱かせる。時には外交以上だ P30

・いいかい。
これまでの希望に放り出されたら、新しい希望を見つけるの P188

・人は生まれる場所も、親も選ぶことができない。
所詮、人生は不公平だ。
そんなことはわかりきっている P201