Voljushka 微可動

「ヴォーリュシカ」 目覚め中です。

夏の終わりの

2008-09-04 23:53:55 | 映画
政権ぶん投げが風物詩となり
ニュース番組(もどきや僭称を含む)が
やたらとはしゃいで鬱陶しい昨今ですが
こんばんは

先日は映画「ひゃくはち」を見て来ました。
(@三宮シネフェニックス)

甲子園常連校の
サード補欠の雅人(斎藤嘉樹)と
ファースト補欠のノブ(中村蒼)は
三年夏の甲子園のベンチ入りを目指している。

たとえベンチに入ったとしても
試合に出れるチャンスはほとんどない。
それでも二人は猛練習に励むだけでなく、
寮長と副寮長に立候補したり、
監督命令で対戦チームのサイン盗みの
偵察に行ったりする…

野球部のモロに体育会的な体質や
横暴な監督(竹内力が怪&好演)に、
そこに寄って来る胡散臭いスカウトとか
提灯記事しか書かないスポーツ紙の記者など、
高校野球のダークサイドはサラッと流し

この二人の補欠を物語の中心に据えて、
カッコよさとカッコわるさが
絶妙に入り混じった笑って泣ける
爽快な青春映画になっている。
(野球映画としては見事な変化球)

彼等は隠れて喫煙や飲酒をしたり、
カツラをかぶって合コンに行ったりもする。
煩悩まみれで等身大なところも
高校野球に興味がなく
根性なんて言葉が大嫌いな
私でも充分楽しめた 笑

タイトルの「ひゃくはち」は
人間の煩悩の数であり
硬球の縫い目の数でもある。

この二人の組み合わせが良い。
雅人はややお調子者で明るく、
ノブは冷静で芯が通っていると
巧く描き分けられている。

有望な新入生(ファースト)の登場で
二人は同じポジションの補欠を争う。
練習時さえ牽制しあって
険悪なムードになってしまうが、

雅人だけがベンチ入りの結果が出ると、
今まであんなにいがみ合ってたのに
ノブは素直におめでとうと言うが
かげでは泣いてしまう。
その号泣を聞いてしまった雅人は
なんともやりきれない表情になる。

ややご都合主義的な展開もあって
二人の目的は一応達成される。
ラストは秀逸、味方のピンチで
期待以上の働きをする(伝令だけど)。

余韻を持たせたこの終わり方は良かったなあ。
エンドロールの後にちょっと面白いものが、
あの怖い顔にあの文言 ウケた。
130分がぜんぜん長くない!

斎藤嘉樹は初めて見たけど味があり、
中村蒼は「学校じゃ教えられない」
(今クール唯一視聴してるドラマ)とは
また違った雰囲気なのも楽しめた。

例の如くそのあとは本屋巡り。
買った本列挙してみると
橋川文三「ナショナリズム」
大宅歩「ある永遠の序奏」
織田作之助「青春の逆説」
三浦しをん「夢のような幸福」「乙女なげやり」
北村想「怪人二十面相・伝」

橋川は「日本浪漫派批判序説」「昭和維新試論」
と読んでみてこれが三冊目。

しをん女史のはどちらも爆裂(!)エッセイ集、
しばらくご無沙汰だったので楽しみ。
そういえば「しをん」(本名)の由来となった
石川淳の「紫苑物語」が買った覚えもないのに
クローゼットの段ボール箱から出て来た(笑)
そのうち読まないと、凄く殺伐とした話らしいが;

「怪人~」はかなり前に文庫化されたとき
買おうと思いながら忘れてフェードアウト。
今度これを原作にした映画「K-20」が公開されるので
急に読みたくなって…
調べると出版芸術社の単行本が現行だったので入手。
ちなみに小林少年は本郷奏多が演じるらしい…

では。また。

無かったこと

2008-08-21 01:05:10 | 映画
平和の祭典(反語!)は
開会式からずっと
競技もほとんど見ていません
運悪くニュースで見てしまう以外は。
こんばんは

よんどころない事情があって
一回抜けたと思えば良い、
実際二つの世界大戦で何度か中止してるし。
次のロンドンは楽しみだなあ、
地デジ時代になってるし(笑)

映画「歩いても歩いても」鑑賞。
(@シネカノン神戸)

くすくす笑えてほろっとなる映画。
一方でひんやりとした気分にさせられる
シーンもあるのだけど、
それも充分に人間らしくて
いとおしくさえ感じた。
深刻にはならず 時は淡々と過ぎて行く。

古いのではなくて
いつの時代にも当てはまるような
懐かしさを持った作品だった。

横山家の次男(阿部寛)は妻子を連れ帰省する。
姉(YOU)の一家も帰っていて、
老いた両親(原田芳雄&樹木希林)の家は
久しぶりににぎやかになる。

キッチンではなくまさしく台所(レトロ!)で
たわいもない冗談や噂話をしながら
料理を作る母娘、二人の掛け合いも楽しい。

そんなちょっとはしゃいだ雰囲気のなか
登場人物の会話から少しずつ一家の
現在や過去が浮かび上がってくる。
巧みな進行。

失業中(実家には隠してる)の次男、
彼は子連れの女性と結婚している。
母娘と仲良く喋る妻(夏川結衣)、
でも疲れてつい夫に愚痴が出たりしてしまう。

元開業医で頑固な父とは
なんとなくギクシャクとした関係。
でもこの二人融通の利かないところなんて
そっくりで流石親子。

この日は長男の命日、
彼は10数年前に海で溺れかけた見知らぬ子供を
助けようとして亡くなったのだ。
その子供は今では青年になって
毎年命日にはお参りに来て近況を話す。

母が招いているのだが
その真意を息子たちに明かす。
一種の悪意には違いないが理解できる。
見ていてもちっとも嫌な気分にはならず
むしろ切ない。

あの一年に一回の一日は
母だけではなく青年にとっても
必要な儀式のようなものではないか
なんて思ってしまう。

家の中に入り込んで飛ぶ蝶々を
死んだ息子の生まれ変わりだと言う母。
樹木希林はやはり存在感があるなあ。
原田芳雄と阿部寛の不器用な親子関係も
リアルで味があった。

次男(良多)を「良ちゃん」と呼ぶ連れ子(田中祥平)
しっかりしていてかつ可愛かった(笑)

最後の後日談は蛇足に感じた。
過去の出来事が語られ
未来を暗示している
切り取った丸一日のドラマで
十分に完結しているのに。
まあ好みの問題だけど…

親子関係や両親の老いなど
身近に感じてしまった。

角川でこんなことしてるの知らなかった。
七月の編集長は重松清。
なぜか苦手な作家さんなんだけど
重松さんが選んだ六冊の角川文庫は
なかなか好みなラインナップ。グート!

昔から読みたくて探してた
檀一雄「夕日と拳銃」(上下二冊)は早速購入。
織田作や大宅歩にも食指が。

今月の恩田さんのチョイスも楽しみ。

そういえば夏の終わりらしくなる。
けだるい暑さとそこはかとない寂しさが良い。
初夏も盛夏も晩夏も好き…
というか嫌いな季節はない。
但し四季の中にあってこそだけど、
一年中のんべんだらりと暑いのはイヤ。

では。また。

赤と白

2008-08-07 23:41:03 | 映画
表題は
ワインのことでも
ロシアの内戦の話でもないです(^^;
こんばんは

久しぶりに映画を
映画館で見てきました。
やはり真っ暗ななか
大きな画面での鑑賞はトレ・ビアンだった、
特にシアター向きの作品だったので。

アルベール・ラモリス(1922-1970)監督の
「赤い風船」(1956)と「白い馬」(1953)
の二本立て(@シネ・リーブル神戸)

どちらも40分程の古いフランス映画。
権利関係で長らく上映できず、
名のみ高かったそうだ。
それがデジタルリマスターで復活。

実はこの映画のことは全く知らなかった。
たまたま覗いた公式ページ
白馬に跨った少年があまりに印象的だったので
ついつい惹かれて…

「白い馬」はモノクロ作品。
南フランスの海辺の湿地帯が舞台。
野生の馬の群が棲息している、
そのリーダーは白いたてがみを持った美しい馬。
何とかその馬を捕まえようとする牧童たち。

漁師の少年(アラン・エムリー)も
白い馬に魅せられ自分が捕まえようと考える。

白昼のまどろみに少年は遠浅の海(?)を
白い馬に乗っている夢を見る。
どこまでも浅い海が続き
見渡す限り馬と少年しかいない。
そして鏡のような海面が彼らの姿を
さかさまに映し出す。
モノクロでも十分に美しいシーン。

12歳(?)くらいか、
粗末な小屋に住んで
裸足で服装も貧しげだけど、
全然小汚い感じはしない。シャルマン!(笑)

縄を馬の首にかけたものの
どこまでも馬に引きづられて行く、
しかし決して手を放そうとしない少年。

砂浜をうつ伏せになって
猛スピードで引っ張られる少年の身体、
その速度が段々と遅くなり
やがて止まってしまう。
馬も少年を気に入ったのだ。

鞍もなしに手綱のみで馬を乗りこなすのが
凛々しくて、人馬ともに美しい。

牧童たちに追われて逃げる馬と少年。
最後の波間に見え隠れしながら
沖へ出て行くシーンが切ない。
無駄な部分が全くなかった。

「赤い風船」の方はカラー。
パリに住む少年(演じているのは監督の息子、
パスカル・ラモリス。小学校低学年くらい)が
街灯に紐が引っ掛かっている赤い風船を見つけ、
わざわざよじ登って風船を手にする。

その風船をすっかり気に入った少年。
風船を持ったままではバスに乗せてもらえず
学校まで走っていったり、

帰り道に雨に降られると、通りすがりの人に
頼んで風船(!)を優先的に傘に入れてもらう。
その人の行き先が違えば別の人に頼んでと、
次から次に傘を渡り歩いて風船を濡らさずに
家まで帰ってきたり、
するところがなんとも微笑ましい。

やがて少年が紐を握っていなくても
風船の方も意思を持っているように、
彼の後を付いてくるようになる。

くすんだ風なパリの下町の風景のなかで
つやつやと光沢のある風船の赤色が鮮やか。

それから石畳の音が良い。
少年の靴音や騎馬警官隊の蹄の音が
本当に戛々と聞こえた。

悪童たちに風船が踏みつけられて
しぼむところは、張りがあった表面に
徐々に皺が現れ、少しずつ小さくなっていく
のが哀れ…でもそこで奇跡が起こる。
赤青緑橙黄白の風船の群は壮観。

二作とも素晴らしいファンタジーだった。

その後ゆっくりと書店めぐり。
渡辺京二「北一輝」や三島他を何冊か購入。

そんなに力を入れて集めてたわけじゃないけど
探偵小説専門誌「幻影城」(1975-1979)全53冊が
先月やっと揃った! 

集め始めたのは前世紀で、52冊目を入手したのも
2000年夏の下鴨神社糺の森の古本市。
まああったらで良いとネットとかで探さなかったので
8年も掛かってしまった フウ
別冊は揃っていないけどこちらは気にしない(笑)

では。また。

まだ夏眠中

2008-08-05 22:28:04 | 映画
ですけど
こんばんは

一ヶ月以内に一度以上の更新で
アクティブなブログに分類される
そうなので…
ここはすっかり不活性ブログです(^^;

なんとなくサボっていますが
特に変わりばえのしない日常を
送っております。

日本に遅れること44年
無理に無理を重ねて
必死なところがすごくイタイタしい
某国のオリンピックはどうでもいいとして

東京大会はTVの懐かしの映像とかくらいで、
まとまったものは見たことがなく
ほとんど知らないことに気が付いた。

それで市川崑監督の公式記録映画
「東京オリンピック」を先日DVDで見た。

ギリシャでの点火式から始まり
世界各地や日本での聖火リレーの物語的な映像、
雲ひとつない青空の下での開会式と、
すぐに惹きこまれた。
普段あまり興味のない競技も退屈せず。

ハードル走の演出が面白かった。
スタート前の歓声が
試合が始まると無音になり、
ただ選手の一人が倒したハードルの
鋭い音だけが聞こえた、
そしてゴール前になると音が入り
再び歓声に包まれる。

冷戦のさなかなのに
東西ドイツが統一チームだったのには驚いた。
優勝時の国歌は「第九」の一節だった。トリビア

やはり圧巻はマラソン。
コース沿いに警官がワンサカ立ってたわりに
ピリピリ感はほとんどなくて、
沿道の観客の表情やら声援も初オリンピックに
興奮しているもののどこかのんびりとしていて、
好ましいくかつ微笑ましいものだった。

マラソンでも裸足のランナーが何人かいたのに驚く、
優勝したアベベはちゃんとシューズを履いてたが。
臨場感もあって(国立競技場内の)ゴール直前で
二位だった日本の円谷が抜かれたのには
思わず惜しい!と呟いてしまった。

整然とした開会式とは対照的だったのが、
お祭り騒ぎのような閉会式で、
みなさんホントに楽しそうだった。
箒の柄にユニオンジャックを括り付けて
振り回している人たちとか
演奏する自衛隊(?)の音楽隊の前で
こうもり傘を指揮棒代わりにしてる人とか
後夜祭的な雰囲気が素晴らしかった。

昔のオリンピックもなかなか良いもんだ、
でももう一度東京でとは思わない
旗振り役も気に入らないし(笑)

春先に見損ねた映画もレンタルで鑑賞。
「フローズン・タイム」

かなり楽しめた、
劇場で見なかったのを後悔。

失恋のショックから不眠症になった美大生が
深夜のスーパーでのバイトを始める。
彼は時間を止めることが出来るようになり、
静止した世界を一人だけ自由に動き回る。

主人公の回想は思春期の性妄想そのまま
みたいな発想も多くて下ネタ満載、
なのに全体としてどこか洒落ている。

監督はファッション誌のカメラマンらしく、
深夜スーパーで静止してしまった女性が
みんなモデルのような美人で、
主人公は画家志望の美大生らしくらしく
静止している彼女たちの着衣をずらして
写生させてもらう。 

表情も固まったまま半脱ぎでモデル立ち、
とカゴにスーパーの店内という
アンバランスが可笑しい。

ぼんやりとした太陽が浮かぶ夕暮れ、
ビルにぶつかりそうなほど大きな月とかの
スタイリッシュで綺麗な映像や

「時計は敵だ。
見ると時間は進まない」
「八時間増えた
人生の三分の一が増えた」などの台詞が印象的。

ベタベタな展開でひょうたんからコマの
ハッピーエンドなのも良かった…

そして時間が止まり
降りしきる雪さえ空中に止まり
きらきらと美しい世界のなかで
主人公とその恋人だけが動いている
ラストシーンも。

では。また。

つばいあいんぬる!

2008-06-23 23:43:00 | 読書
久しぶりですという
ブログらしからぬ間の抜けた
挨拶を繰り返しています
こんばんは

いつもの慢性無気力だったので…
夏至も知らない間に過ぎてしまったし(^^;

読了本。
柴崎友香「きょうのできごと」(河出文庫)

友人の大学院進学&引っ越しの
お祝いに集まった数人の男女。
その内の五人の視線を通して語られる
飲み会の様子やその日起こった
ちょっとした出来事、ありふれた日常。

でも退屈はせず、
心地良い関西弁の会話に浸りつつ
すぐに小説の中へ入り込めた。

他の著作にも食指が…
一つの季節に一作くらいを
楽しみにしながらゆっくりと
読んで行きたいと思うような作家さんだった。

登場人物では「かわちくん」のキャラが良かった。
飲み会で女子から可愛いとちやほやされるが、
デートでは彼女を怒らせないかとビクビクしてたり
見知らぬ酔っ払いにまじめに返答したり
セールスに引き止められ易い体質だったりと
人の良さやちょっと天然なところが微笑ましい。

読んでるときは特に気にしなかったけど、
解説にあった小説の「不思議な緻密さ」には
なるほどと思った。

何となく借りた古いモノクロ映画
岡本喜八監督の「殺人狂時代」、
かなりドタバタなコメディーで
夜中に大笑いしてしまった。

精神病院の院長にして
殺人結社の主宰者 を演じた天本英世。
患者から素質ある人間を選抜して
訓練して殺し屋に仕立てるという
マッド・サイエンティストぶりが秀逸。
ナチスの残党と喋るドイツ語もさまになってた。
表題は演習地に追い詰めた仲代達を砲撃
するときの秒読みの台詞。

冴えない中年男の仲代達矢と
飄々として殺し屋たちと渡り合う仲代達矢。
どんでん返しの連続で滅茶苦茶面白かった。
傑作にして怪作。

「人生の最大の快楽は殺人ですよ。
面白いからですよ」
なんて台詞があったり、
キ○ガイという言葉が繰り返し現れて
地上波では絶対放映できない。

原作は都築道夫の「なめくじに聞いてみろ」
本棚をごそごそしてたら持ってて(但し未読)
解説が岡本喜八ご本人(!)だった。

それにしても「死に紙」はみっともない。
あれが風刺とは片腹痛い、
夏彦翁の寸鉄人を刺す警句と比べれば一目瞭然、
ひねこびた子供の悪口程度のしろもの。
技量以前の資質の問題。

では。また。

われもなりたや白樺派

2008-06-03 22:16:56 | 読書
いよいよ近畿も梅雨入り
まあ曇天や雨天も気分が落ち着くので
それなりに好きだったりします
こんばんは

久々に虫歯なんぞになって
仮の詰め物なのでキャラメルやヌガーは駄目、
好きなので無意識に口に入れないよう
気をつけないと (^^;フウ

小説「蟹工船」がブームらしい。
かなり解せないので、
ググったりブログの検索であれこれ見たけど、
ワーキングプアな人が我が事のように読んでいる
といわれても…なんだかよくわからない。

σ(^_^;は読んだことないし
この先読む予定も今のところはない。
流行りものは好きじゃないうえに
まったく食指が動かないから。

数年前に荒俣宏の
「プロレタリア文学はものすごい」(平凡社新書)
というこれまたすごい(笑)タイトルの
新書は読んだことがある。
(発行は2000年、現在品切れ)

プロレタリア文学は
『ホラー小説である』
『探偵小説だった』
『セックス小説だった』
『SFだった』
『立川文庫だった』
という見地からこの『忘れられた幻想』
を楽しもうというブックガイド。

「蟹工船」はスプラッターホラーとして
読むほうが自然で、労働者を如何に苦しめるかの
視点から書かれているとの指摘も。

2000年にすでにこんな本を出していた
荒俣先生は流石(李賀みたいに若くして心が朽ちてた
@ご本人様の言 だけのことはある。これ賛辞です)

この本の中で私が一番興味を持ったのは
「志賀直哉の謎」と題された章だった。
白樺派がすごいのは
『身勝手を押し通すことに対するふしぎな自信』
『苦悩をセクシャルな快感と同一視できる逞しさ』
を持っていて
『どうせ最後は自らの自我が世間をうち負かす
に決まっている』(!)と思っているからだと。
『…』内は引用。

この物言いにすごくウケた(笑)
表題はこの部分の小見出しより借用しました。

その荒俣先生でも昨今のブームは
思いもよらなかったかも。

まずマンガで読まれたらしいけど
書影の 30分でとか 大学生のためのとかに苦笑。

【読書予定】
あるページの紹介記事を見て読みたくなった
柴崎友香「きょうのできごと」

あとは反時代的読書(笑)を心がけたい。
まだのろのろと読んでる「日本浪漫派批判序説」
に保田与重郎の本を少々と

この間書棚で見つけた(買ってから放置してた・汗)
ベルトラムの「独逸的形姿」。講演集。
パラパラと見ていたら
「ニーチェこそ南方と北方との間の戦の庭だ」
(@北方とドイツ浪漫主義)なんてフレーズが登場。
こういうレトリックに弱いのだ。

それからこの間スルーした「モスクワの憂鬱」の
スクリャービンの部分も早く読みたい。

では。また。

鳥渡無沙汰仕候

2008-06-01 22:38:57 | 映画
ああもう水無月
知らぬ間に庭の紫陽花も色付き始める

週末久しぶりに美容院へ行って
心身はともかく髪だけはすっきり。
微妙に夏仕様です(^^;
こんばんは

相変わらずパソコンの前に座ってると
吸い取られたように時間がなくなってしまい
しばらく書きそびれていた

先日見た今年4作目の映画
「ラフマニノフ ある愛の調べ」
(@シネカノン神戸)
の感想を少々。

ネット上での評判はあまり芳しくなく
また慢性の睡眠不足なので
鑑賞中にうつらうつらしないか
心配だったものの、
全然大丈夫で楽しめた。
(まあ突っ込み所も多々あったが・笑)

映画は亡命後のカーネギー・ホールでの
コンサートから始まる。
桟敷席にソ連大使一行を見付けたラフマニノフは
「私の仲間を殺した奴等だ」と演奏を拒否する。
それを知った客席からブーイングが起こり
物が投げつけられて、大使らはすごすごと退散。
小気味良し。 ボル 出て行け!笑

改めてラフマニノフ登場。
演奏するのは自作のピアノ協奏曲第二番。
熱狂する観客。割れんばかりの拍手。
演奏家としての名声が上がる一方
思うように作曲が捗らない。

映像はロシアでの幼少期~青年時代と
現在を行きつ戻りつしながら、
三人の女性との関わりを通して
ラフマニノフの生涯や創作の秘密を
描き出そうとするが…いささか竜頭蛇尾。

最初の恋人で年上の人妻らしき(?)アンナ、
女学校でのピアノの教え子にして
フランス革命の大ファン(!)のマリアンナ、
従妹で幼馴染で何かと作曲家を支えてくれ
のちに妻となるナターシャ。

作曲家ご本人が神経質やわがままに見え、
むしろナターシャやマリアンナの方が
魅力的に映ったり、
宣伝文句の名作誕生秘話が分かったような
分からないようなところは物足りなかった。

でも回想部分でリフレインされる
作曲家が幼時から親しんでいたロシアの
田舎の風景…別荘があった領地や森などが
ノスタルジックで美しかった。

立派なひげに肩章付の海軍士官の軍服を着た
リムスキー=コルサコフのそっくりさん
にもウケた…チャイコやシャリャーピンが
登場しなかったのは残念だったけど。

藤野幸雄「モスクワの憂鬱」という本の
ラフマニノフの部分だけでも目を通してから
行ったので結構ニヤリと出来る部分があった。

謎の人物から頻繁に届くライラックの挿話も
実際にあった…ただし送り主は違うし
革命前のまだロシアにいた時期のこと。

マリアンナのモデルは
詩人マリエッタ・シャギニャンだし、
作曲家の神経症を催眠術で治療した医者も
実在(ダール博士)するんだけど…
映画は事実をかなりいじくりまわして
御都合主義のメロドラマっぽくなってるのは
まあご愛嬌ということで。

映画では、アンナに捧げた交響曲第一番の初演は 
指揮者がアル中(!)のおかげで大失敗に終わる。
 
上記の本によれば指揮はグラズノフで、
斬新な曲想を理解できず一部をカット・変更
という無茶なことをしたためらしいが、
グラズノフはアルコール依存症だったから
いかにもあり得そう(^^;;

酔っ払いのいないロシアはロシアではない(笑)

では。また。

確かに笑っちゃあイカン

2008-03-14 01:35:45 | 映画
二月は更新が二回だったから
三月は三回出来たらいいや
という無気力ブログです
こんばんは

夕方 円ドルの分足チャートの
買い気配が100.00円だったので、
これは100円割れるなと見てたら
99円80銭くらいまで逝った。
数分で100円台に戻ったけど、
12年ぶりだとか。

FXはやってないし
オーバーナイトしてる株もないから
特に影響はないものの、
何やら世紀の瞬間にでも立ち会ったような気分。
まあいかにも閑人の感慨だなぁ(苦笑)

日銀総裁が空席でも実際どうってことないと思うが
何一つ決定できないどうしようもない政治、
だからJapain(イタイタしい日本?)なんて
言われるんだ…腹立たしいけど上手い!

「正義は国を滅ぼすが、汚職は国を滅ぼさない」
という夏彦翁の言葉は真実だと思う、
でも自民の道路族等の薄汚さを見せつけられると、
理屈よりも生理的な嫌悪感が先立つ。
民主にも別種の嫌悪感を持っているので
ますます無党派になってしまう…
この二党以外は論外も論外だし(失笑)

先日は映画を見て来ました。
「人のセックスを笑うな」
(@シネカノン神戸)

19歳の美術学校生みるめ(@松山ケンイチ)は、
ふと知り合った20歳年上のユリ(@永作博美)の
自由奔放さに惹かれ恋に落ちてしまう。

ユリに頼まれ絵のモデルになるみるめ。
実はヌードモデル、しかも裸ソックス(笑)
二人は関係を持つがユリは人妻だった…
みるめに好意を持つ同級生のえんちゃん
(@蒼井優)は二人の恋愛を知ってしまう。

ドロドロ感はまったく無くて
見ている間も 見終わった後も
ずっと心地の良い映画だった。
バカップル風なユリとみるめの
イチャイチャぶりも微笑ましかった。

二時間以上の上映時間も
長回しのシーンが多いのも、
退屈とか長いとかは少しも感じなかった。
むしろじわじわと深く物語に浸っていく
ような快感があった。

台詞とかアドリブっぽい部分があって
ちょっとメイキング風なつくりだけど、
構図とか映画全体がちゃんと計算されていて
スタイリッシュでもあった…

印象的なシーンで使われたバス停の傍ら
画面の手前から奥へ一直線に電柱が
並んでいる面白い構図とか、
みるめとえんちゃんの観覧車での
やりとりの場面など。

携帯が登場するから最近の設定だろうけど、
家や部屋とか登場人物(!)は
80年代~90年代が舞台でも違和感がない
ノスタルジックな雰囲気とかも。
石油ストーブやポンプ懐かしい~

蒼井優のえんちゃんがホント可愛かった、
失恋ショックから魂が抜けたみたいな顔やら
ダダをこねて手足をバタバタさせたり、
ベッドの上で泥酔してるみるめの周りを
飛び跳ねたりと、表情だけじゃなく
大きな身振り手振りも魅力的だった。
ウエイター風の映画館のもぎりの制服や
ガテン風のツナギ(?)もイケてたし。

あと私的にツボだったのがユリの夫猪熊さん
を演じたあがた森魚。
「赤色エレジー」というヘンな歌(勿論賛辞)
が好きなので、現在の動いてる(笑)姿を
拝見できて満足だった。

その少し前に今年初めてのm君に会った。 
あちこちとぶらぶらしながら
いまどき珍しい(?)純喫茶で
イタリアンな炭火焼屋さんで
いつもの怪しい雰囲気のビアバーで
ぼそぼそと取り留めのあるようなないような
たわいもないお喋りを多々してきました。
相変わらずすごく楽しかった

猥談少々に映画やテレビの話題も…
実は↑の映画も良かったと聞いて
行って来ました。
「情熱大陸」を見られたそうで
「クロサギ」は絶対行くと仰ってました(笑)

それから男子校カフェなるものがあるのも聞いた。
帰ってググると訪問記(腐系の方多し)が
ズラッと出てきた。
冥土あり羊wありだからこれも必然か。
Die Welt ist tief! セカイハフカイ

では。また。

森羅万象饅頭化之国

2008-03-06 02:12:51 | 読書
オバマ饅頭にかなりウケてます
こんばんは

もうすっかり三月ですね
まだ寒いのに空気がどこか春めいて
何となくウキウキぞわぞわと心騒ぐ時期。

一年のうちでは
今頃から花の季節までが一番好き。
まあどこやらから毒黄砂が
飛んできたりもしますが…苦笑

三月は軍神マルスの月(march)なので
いささか好戦的な気分です(嘘)

先週末から為替が逝ってしまい
昨日今日はともに不参加…
前場は二日とも寝てたし
後場は日向ぼっこをしながら様子見、
ぼーっとモニターを眺めてました。

好戦的どころか
油の抜けた隠居の爺さんみたいだ(^^;
どうもNYも日経も瀬戸際にいるようで
上へ抜けるのかもう一段落ちるのか
非常に危うい位置らしいけど。

まあホールドしてるものはないので
余力を保ちながら焦らずのんびりと
しております。

読みたい本もたくさんあるし…

現在三島の短編集「殉教」を読んでるけど
ちっとも進まないものの、
読み終わった三編はどれも珠玉だった。

深夜の御陵から始まる古代の荘重な物語、
でも登場人物の心理はまるで現代人のような
不思議な混淆状態の「軽王子と衣通姫」

一読 野溝七生子の「眉輪」を思い出した。
そういえば久世さんは野溝を三島の母では
ないのかと思えることがあると書いていたし、
「眉輪」の中に三島が生涯に書き遺した
すべてのものがあるとも。

中学の寄宿舎で疎外されている少年が
ふと見上げる青い青い空が印象的な「殉教」

不貞を働いた夫と相手の女やその父に
復讐するためわが子さえ利用する女性が主人公。
物語中で彼女が独り屹立する高峰のようで
軽薄な夫以下は木偶にしか見えない「獅子」

去年室町時代で中絶した山田孝雄の「櫻史」
この季節に合わせて再開するつもり。
万朶の桜が散るころまでには現代(大正)
にたどり着きたい。

橋川文三の「日本浪漫派批判序説」や
北一輝の「支那革命外史」(抄だけど)が
何年も前から文庫になってるのを今更知って驚く。
暑苦しそうだけど(苦笑)これも読みたい。

半分も読めなさそう
メンタルも乱高下する季節だから(´_`。)

では。また。

リオムパ!

2008-02-11 02:05:58 | 読書
メインのパソコンの具合が悪くて
ちょいとご無沙汰しています (´_`。)
こんばんは

一度動き出すと普段とあまり変わらないものの
なかなか起動できないというあやうい状態、

ドッグ・イヤーの×7みたいに
独断で×20してみると
80代後半の御高齢なので

新しいPCを注文しました。
使っている証券会社の取引ツールが
対応してるからVistaにしたけど、
調べてみるとフリーソフトでは未対応も多いみたい。

よく使う「FLV Player」「JTrim」は○
でも「Winamp」なんかは微妙…
使い易いから古いVer.愛用してるし。
昔お気に入りのストリームのネットラジオを
全部録音した(^^;「仮面舞踏会♪」は×。

そんな小さなことに一喜一憂(苦笑)していたら、
今日は起動ができなくて青くなってしまった。
タワーを開いてアタフタ…

何とか動いてくれたものの
新しいのが到着したときに起動してくれないと
データの移動ができなくなってしまう(泣)

リアルな友人が来る度に隠した
画像や動画に壁紙のオニイサン(笑)とか
今は無いサイトやお気に入りのページの過去ログ
などが亡くなってしまうと焦って
ともかく必要不可欠なものをDVDに保存。
そんなこんなで一日が終了(失笑) ナンタル閑人

先日再読したオレーシャの短編。
主人公の周りから事物が少しづつ消えてゆく。
最初はアメリカへ移住する夢や金持ちになる可能性が、
そして職場が街路が…さらにアパートの廊下さえ
逃げ去ってしまう(彼は死の床についたのだ)

で彼は部屋に棲みついているネズミに固有の名前があり
それを知った途端に死んでしまうというか強迫観念に
捕らわれる…
考えてはいけないと思いながら考え続ける。
とうとう思いついた名前が表題…そして死ぬ。

こう書くと真っ暗な話みたいだけど
読んでみるとリリカルだし
かえって「生」の愛おしさを感じさせられる一編。
@「リオムパ」(ユーリー・オレーシャ『愛』晶文社 所収)
これがネズミの名前だ!と言われれば
納得してしまいそうな語感なのも良い。

去年から読んでた三島の「禁色」やっと読了。
老作家が自分を裏切った女たちに
ゲイの美青年を使って復讐を試みるオハナシ。

復讐対象の一人 鏑木夫人がなかなか魅力的。
妻と母にゲイバレしかかった青年(そりゃ修羅場ですな)
をお芝居で救ったり、その報酬に彼を旅行に連れ出して
同室に泊まるけど、結局手を出さなかった。
章のタイトルの「雄々しい恋」がぴったりな女丈夫。

ドタバタなシーンも多かったけど、
登場人物の心理状態から
自然や身の周りの見慣れたものまでの
あらゆるものを詳細に描写する華麗な文章に、
所々に現れる見事に的を得た警句のような文言。

『「君は僕が好きだ。僕も僕が好きだ。仲良くしましょう」
―これはエゴイストの愛情の公理である。
同時に、相思相愛の唯一の事例である』
【『…』内は引用】

最初何となく可笑しくて
そのあと ほ~と感心してしまった部分。

日付が替わって
今日は日本のお誕生日。おめ!

では。また。