Voljushka 微可動

「ヴォーリュシカ」 目覚め中です。

かがみもの

2008-12-28 22:55:19 | 映画
って「大鏡」や「増鏡」みたいだけど…
こんばんは

一昨日映画を見て来ました。
二日連続で見たのは何時振りだろう。

「ブロークン」
(@シネ・リーブル神戸)

ロンドンに住むX線技師のジーナは
恋人や弟とともに父の誕生日を祝う。
そのパーティの席上大きな鏡が突然割れるが、
一同はちょっとしたハプニングと軽く受け止める。

ある日ジーナは街中で、自分そっくりの女性が、
自分と同じチェロキーの赤いバンを運転している
のを目撃して、咄嗟に跡をつけてしまう。
相手のアパートにまで侵入、そこは彼女の部屋と
瓜二つで、ジーナと父の写真までが飾られていた。

狼狽した彼女は帰路に交通事故を起こす。
奇跡的に大したケガではなかったが、
事故の記憶は断片としてしか残っていない。
それ以来、悪夢を見たり、恋人がよそよそしく
別人のように感じるようになってしまう。

医師の勧めもありカウンセリングを受けることに…

「フローズン・タイム」のショーン・エリス監督の二作目。
DVD鑑賞した前作はコミカルでありながら洗練され、
そして美しい映像だった。

そんな訳で期待は高かったんだけど、
公開後の評価がいまひとつ、レビューも少なかった。
例えば「映画 ブロークン」でブログ検索すると、
「ブロークン・イングリッシュ」の方が多く出てきて、
「ブロークン」は数分の一程度。

であまり期待せずに見に行ったところ、
思っていたよりもずっと良かった(笑)
ストーリーは目新しいものではなかったけど、
ひとひねりはされている。

サスペンス・ホラーものにしては表現は抑え目で上品、
悪夢の中で流れる血も生々しくはない。

今回も凝った綺麗な映像だった。
リフレインされるロンドンの街の俯瞰は
全体が巨大な生き物めいて見えたし、
ジーナが迷い込んだ地下鉄の駅はカタコンブを連想。
彼女がバスタブでゆったりと体を伸ばすところも
面白い構図だ…お湯が海で顔や手足が島みたいな。

ちょっと釈然としなかった部分は、
帰ってからネタバレのブログさんの解釈と
つき合わせてみると、伏線が巧みで、
暗喩が鏤められていたのがよく分かった。 
ただ月並みな恐怖を煽る音響には些か不満。

夏に鑑賞してすっかり気に入った
「赤い風船・白い馬」のDVDを購入。

「白い馬」の少年が見る真昼の夢。
ちょっと記憶違いはあったけれど、
空も海も水平線もすべて銀灰色に溶け込んで、
遠浅の海を楽しげに歩む少年と馬と、
水面に逆さになった少年と馬の鏡像のみが、
おぼろげに霞んで映っている。
本当に美しいシーンだ。

特典映像には「白い馬」の少年を演じた
60歳代後半のアラン・エムリーも登場。

「年々歳々人同じからず」が正直な感想だけど…
エムリーの回想は興味深かった。
当時の彼は俳優として未熟だという自覚があったので、
演技を要求する監督は厳しく怖かったそうだ。

「監督の青い目とカメラの黒い目」が彼を怯えさせた、
その怯えが映画のテーマに合っていたから
かえってそれらしい演技になったのだろう、
という言葉が印象的だった。

同じく映画館で見て気に入った「低開発の記憶」も
DVDになったようでこれにも食指。
こういうクラシックな名作は手元に置きたい。

別な理由で「DIVE!!」のDVDも買ったけど…笑

ところで2009年の1月から全館において、
毎月15日は「リーブルの日」で1000円均一だそう。

では。また。

週刊リベラル

2008-12-25 22:47:06 | 映画
相変わらず鬱々しているうちに
もう降誕祭ですね、メリクリ!

大納会は30日だけど膠着閑散な相場はもう
ほうっておいて、今日は気分転換も兼ねて
映画へ行って来ました。

「真木栗ノ穴」鑑賞。
(@神戸アートビレッジセンター)

鎌倉の古いアパートの一室に住んでいる
売れない小説家の真木栗(西島秀俊)が主人公。
次の連載が決まらない上に、泥棒に入られ散々。

彼は荒らされた部屋の壁に穴を見付ける。
穴は二つ、ちょうど両隣の部屋が覗けるのだ。
空室だった片方に、アパートの前で見掛け、
気になっていた謎の女性が入居する。

ひょんなことから官能小説の執筆を引き受けるが、
思うように捗らなくて、ふと穴から覗き見た
隣人たちのことを書き始める。

彼が妄想に駆られて筆を進めると、
今度は現実のほうがそれに追随する。
奇妙な歪み。現と幻の不分明。

やはり西島秀俊が良い。
無精髭を生やした、気難しさや焦りが奇妙に
入り混じった芽の出ない小説家を好演。
荒い息遣いで壁の穴から情事を覗くところ
なんてどう見ても立派な変態さん(笑)

ありがちな設定や展開ではあったけど、
結構好きなテイストの映画だった。

女性編集者に覗いてるところを目撃されて
ヨガのポーズだと誤魔化したり、
泥棒の片割れの女性との狭い家庭風呂での会話など、
クスクス笑える部分やしんみりする場面もあり、
上手くバランスがとられて良い味を出している。

とても平成の時代には見えない、
昭和のノスタルジー溢れる画面も魅力。
 
真木栗は「エコー」をのべつまくなし吸ってる、
まだこんなタバコ現役だったのかと驚く。
周りでも吸ってる人見たことないし…
ウケ狙いや洒落で「ゴールデンバット」を
吸ってたのはいたけど。

表題は真木栗が官能小説を連載した雑誌名。
もろに終戦直後のカストリっぽい響きで、
このネーミングにウケた。
山のような本の中に、ケバケバしい表紙の
角川文庫版の横溝正史の一冊があったのもツボ。
確か「華やかな野獣」だった。

今年はまだあと一本見る予定。閑人だσ(^_^;

では。また。

海底突撃路

2008-12-09 23:26:35 | 読書
最近は
何をするのも物憂く
トリモチでもついているような塩梅
そして相変わらず夜更かししてます
こんばんは 

かなり前に
映画「ブタがいた教室」を鑑賞。
ちょっとだけ感想を書くと…

ブタがトコトコと歩く後姿は
ユーモラスで思いのほか可愛いかった、
渦巻き気味の尻尾とかも。
そして子供たちも良かった。

でも違和感も覚えた、
それはこの映画自体にではなくて、
元となった実話の方にだけど。

以前見た「厨房で逢いましょう」のなかで、
主人公のシェフが食材を解体調理する
結構グロテスクなシーンがあったが、
その場面にこそ、食材(=生命)に対する
シェフの慈しみと畏敬のようなものを感じた。

そういった感覚が希薄だったのが残念。
「いのちの教育」の感動的な話とは受け取りたくない。
それなりの感動はあったんだけど、
それはブタと子供たちのドラマに対してだ。
「いのちの教育」という言葉が何やら胡散臭い。

「食」や「いのち」への感謝というのは
自然と身に付くものじゃないのか。

歳時記的反応で先日
長山靖生編「日米架空戦記集成」(中公文庫)
から三作を読んでみた。

那珂良二「海底国境線」(昭和17年)
「大東亜戦争」に勝利した日本。
憤懣やるかたないアメリカは、太平洋の海底に、
米本土から日本に至る、列車や戦車さえ通行可能な
秘密突撃路(!)の建設に着手する。

天候調節機や昇降機式に全体が地下に隠れるビル
などのSF的要素に、計画を察知した主人公と
スパイたちとのサスペンスな展開とか、
そこそこ楽しめた。

スケールも大きく、まだ戦勝気分に浮かれていた
時代の雰囲気を感じる…
「溶岩逆流・油田大爆発・百年でも二百年でも燃えろ!」
という返り討ちにしてやった的結末(日本再勝利)

立川賢「桑港けし飛ぶ」(昭和19年)
異重原子(イソトープ)など科学的な説明はわりと
しっかりしたもののようだけど、合間に発せられる
呪詛のような激しい言葉が断末魔を思わせる。

偶然が重なって開発された日本の原子破壊性爆弾
により桑港(サンフランシスコ)は消滅する。
しかしリアル世界でこの一年後に起こったのは…
余裕のなさといい、かなりイタイタしい代物。

三橋一夫「帰郷」(昭和16年)
出征した青年が故郷の村に凱旋する…
心地良い驚きの掌編。やられた。
三人の部下とかの伏線には全く気付かず。

気抜け文ご容赦。
では。また。

カブれはしない

2008-11-28 00:39:39 | 映画
十一月もあとわずか
月が替わればもう師走 ハヤイ
深夜以外「ふらふら眠い病」も昂進するし
この一年ちっとも成長していないことに愕然
こんばんは…(-_-;)

次官襲撃事件の呆然とする展開、
粘着クレーム男の大暴走ということなのか。
失言連発の首相にもゲンナリ、
もしかしてほんまもののウマシ…?

話柄を転換して…
少し前に二大プロパガンダ映画を鑑賞。
(ヘンなものに染まらない人向けの大人の趣味デス)

一作目は、「民族の祭典」「美の祭典」を撮った
レニ・リーフェンシュタール監督の
意志の勝利」(Triumph of the Will)
1934年ニュルンベルクで開催された
ナチス党大会の模様を記録した映画。

このDVDは前から興味があったものの、
amazonではリージョンコード「1」になっていて
日本では見れないものとあきらめてた。

ところが再生可能らしい情報もあって…
発売元のHPを覗くとコードは0(フリー)、
さらにグーグルのキャッシュにあった
オークション品の裏ジャケ写真や
ブログでの入手記事を確かめ、
石橋を叩いての購入(笑) 大丈夫でした。

字幕(ON/OFF可能)は英語のみだけど、
概要が分かるとオフにしても差し支えなかった。
字幕があればどうしてもそこへ注意が行ってしまうし、
演説はどうせアレなこと言ってるだけだし(笑)…
だから計算し尽された画面全体をじっくり鑑賞したい。

映画は飛行機の操縦室からの景色で始まる。 
さまざまな形で陰影に富んだ雲海の上の、
光眩い世界がモノクロなのに驚くほど美しい。

画面は綿雲を突っ切きるように進み、
やがて眼下にニュルンベルグの街が現れる。
歴史のある街並みを悠々と俯瞰しながら
「Horst Wessel」(党歌)のメロディが厳かに流れる。

ヒトラーが天上から雲を押し分け
地上に降り立ったようなイメージ。

空港からホテルまでのオープンカーによる
パレードと歓迎式典、大ホールでの開会式から、

松明とスモークが神秘的な夜の集会、
壮大なスタジアムでの昼間の大会が
交互に映されメリハリが効いている。

合間には、郊外に野営している若い兵士や
ユーゲントの少年たちの生き生きとした表情、
懸命に歓迎する可愛い子供たちの姿が挿入され、
プロパガンダには子供が欠かせないのだなと納得。

そしておびただしい数の旗と人の物量作戦に、
ナチス幹部と群衆の一体感を強調するショットの連なり。

国家労働奉仕団(Reichsarbeitsdienst)
の寸劇風のセレモニーも興味深かった。
銃の替わりにスペード(シャベル)やツルハシ
を肩に担って行進するのもサマになっている。
一種の屯田兵のようなものか…

SAとSSの閲兵式で、
砲声が轟くなか、新しく各支部に与えられた党旗に、
1923年のミュンヘン一揆のときに使われた
血染めのハーケンクロイツの旗で触れていく、
まるで魂でも吹き込むように。
神秘的で今まさに誕生したばかりの神話のようだ。

さまざまな軍服を着た兵士たちが
ニュルンベルグの街を行進するシーンは壮観。

ハーケンクロイツで飾られ、
ナチスの軍服に覆われた、
由緒ある佇まいのニュルンベルグに
違和感がほとんど感じられない。
何かで読んだナチスの旗や軍服はオペラの舞台風だ
という説をなるほどなあと思い出した。

この映画のおかげでドイツマーチ・ブームが再燃中。
SAの夜の集会の花火をバックに「ペピータ行進曲」、
ルッツェ(驚くほど声が甲高い)がヒトラーの前を右手を
挙げて行進する場面での「ケーニヒグレッツ行進曲」等々。
他にも聞いたことがあるのに曲名が思い出せない
ものが多数あって隔靴掻痒。

二作目は「戦艦ポチョムキン
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現在amazonの方が安し。

この映画は「1949年ソビエト編集版」をビデオで見て以来、
'76年の「完全版」をテレビで録画保存したり、
映画祭でこの「完全版」を大きな画面で見た程の
お気に入りの作品。

今回買ったのは紀伊國屋書店から出ている
クリティカル・エディション。
'80年代にドイツで始まった復元作業を元に、
世界中から画質の良いプリントを収集して
編集したオリジナルに近いもの。

さらに音楽はマイゼル版! 
エイゼンシュテイン自ら、
映画に従属して映画以上に自己主張をしない音楽をと、
マイゼルに委嘱した。

同じ音形の繰り返し・変奏が多い。モチーフ的役割。
「ワルシャワ労働歌」「同士は倒れぬ」「憎しみの坩堝」
などのメロディーが顔を出すが盛り上げたり
歌わせたりはしない。

思った以上に映画に合っている。
当時としては映像も音楽も斬新なもの
だったに違いない。

以前の映像では、明るい部分は真っ白になって、
人の顔などのっぺらぼうみたいになって
見難いものだった。

それが背景や細部までが驚くほどクリアになってた。
オデッサの街の奔流のような群衆の動きも明確で、
映像の意図が良く分かった。
初めて見るショットも幾つか。

付録の40数分のドキュメンタリー
「戦艦ポチョムキンを追って」も見応えあり。

ロシア側とドイツ側の関係者へのインタビュー。
最初は恋愛もないしスターもいないから
興行的に失敗すると思われていたとか、
'76年版は字幕の部分を延ばしたりして
ショスタコヴィチの音楽の方に映像を合わせる
という無茶な編集(本末転倒!)だったとか、
知らなかったことも多々あり。
「完全版」は実は「不完全版」だったのだ。

モスクワでの初公開時にならって、
一箇所だけポチョムキン号に掲げられる旗が赤い。
フィルムに直接色を絵筆で塗っているのだ。
彩色された赤旗はややアニメぽかったけど、
不覚にも感動してしまった(σ(^_^;アカくはないです)

(サイレントだから)全画面の字幕は、
新しくデジタル処理されたものだけど気にならず。
全体に素晴らしい復刻だった。
価格少しお高めだけどそれだけの値打ちはあった。
満足じゃ。

普通に見たい古い映画は廉価版で、
特にお気に入りはこういう凝ったもので、
所有・鑑賞するのが理想だけど…

画質はワンコインものとあまり変わらず、
値段だけ3000円台の中途半端なところ、
からしか出ていない作品もあるからなあ。
紀伊國屋さん、他のエイゼンシュテイン作品も
これ位のクオリティーで発売して下さいな。是非。

長すぎて失礼 ペコ
では。また。

或るブッキッシュな雑感

2008-11-20 23:11:35 | 読書
一気に冬が来てしまったような塩梅
老体には応えます(^^; コンバンハ
お久しぶりです~

琥珀の季節到来!
って季節限定の琥珀ヱビスが
今年も発売になったというだけのことですが。
深夜にカツサンドをお供に一杯やるという
不健康なことをしております(汗)

元厚生事務次官とその家族が殺傷された事件。
なんとも奇怪な出来事なので一昨日以来、
テレビのニュースやワイドショーを見たり、
ネットの掲示板やブログなどを覗いたりしてます。

二つ目の事件の後、急に「連続テロ」「年金テロ」
などの言葉が使われ始めたけれど、
本当にこれはテロなのかという疑問も湧く。
犯行声明や斬奸状(古いが;)などもないし、
個人的な怨恨のような気もする…

某掲示板はまあ想像通りの内容だった。
こんなときに不謹慎だ!といえなくもない、
でも一概に非難する気にもなれない。
各番組の推理合戦だって相当不謹慎だし。

神戸の児童連続殺傷以来、
あの手のものは当てずっぽうで、
当たるも八卦のいい加減なものだと思っている。
専門家って…なかには退職後のお小遣い稼ぎ
みたいな人もいるし(失笑)

それらのものより一層醜悪に感じたのは、
野党やマスコミが騒ぐからこんな事態に至った
というような意見(与党発?)
人の死を利用して年金に対する正当な批判まで
牽制する焼け太り風な物言いに激しく違和感。

それはそれ、これはこれで別問題なのに、
何やら報道が、腰が引け気味なのも薄気味悪い。
これが犯行の狙い?などと勘繰ってしまう。

ちょうど工藤美代子の「昭和維新の朝」を読書中
だったせいか、最初は政治テロ方面へ連想が
働いてしまった。
これは二・二六事件に連座して禁錮刑に処せられた
齋藤瀏少将(歌人でもあった)と娘の歌人齋藤史の評伝。

例の如くテレビやネットを見ながら思い浮かんだのは、
下のような本の一節。ええ 本の方がリアルなんですw

夏頃読んだ橋川文三「昭和維新試論」には、
大正10年に安田善次郎を暗殺した朝日平吾について、
吉野作造が書いた文章が紹介されている。

安田の蓄財方法の悪辣さを列挙したあと
もし自分が安田の跡継ぎならば財産の半分くらいは
公益事業にでも投げ出さなければ、
『とても寝ざめがわるくて生きておれぬ』と書く。
(そのあとには朝日の行動には徹頭徹尾反対の
フォローもあるが…)
【以下『…』内は引用です】

橋川によると、吉野には『朝日の人間と思想への
かなり深いシンパシイ』があったとか。
吉野作造といえば教科書で習ったくらいで、
「大正デモクラシー」や「民本主義」とか
良識を持った知識人のイメージがあっただけに、
この寝覚めが云々にはぎょっとして
印象が強く記憶に残ったのだと思う。

昭和初期の暗殺やクーデターには、
多くの共感や減刑の嘆願書が寄せられたらしい。
日本人にはこういう感覚は珍しくなかったのか。

次に三島由紀夫の「奔馬」
主人公が最後に暗殺する財界人の形容。
五・一五の「日本国民に檄す」を三島風に翻案したような
外務官僚財界人政治家軍閥学者等を諷する文章に続き
『蔵原はこういう惨憺たる風景画の只中に、
冷然と置かれた一個の黒い絹帽(シルク・ハット)だった。
彼は無言で人々の死を望み、これを嘉していた』

触れるのさえ厭わしく
禍々しい黒いシルクハット…
見事な比喩だと思う。
そういえば来週の火曜日は憂国忌。
買ったまま放置の「鏡子の家」も読みたくなってきた。

では。また。

ク○に一票!

2008-10-28 00:25:29 | 映画
お久しぶりです
とまたまたブログらしからぬ
気の抜けた挨拶ですが…
とりあえず こんばんは(^^;

無茶苦茶な相場が続いているけど、
オーバーナイトしないという自己ルールもあり
普段と変わらずちまちまとやっております。
今日の前場も薄利だった(三営業日連続薄利;ヘタクソ)
後場は先物暴走に恐れをなして手は出さず。

先週の金曜日は、後場の初っ端に、
日経が8000円を割った画面を一応記念のため
スクリーンプリントして、
すぐに映画へ行ったんだった。

「TOKYO!」鑑賞(@シネ・リーブル神戸)
三人の外国人監督が東京を舞台に撮った
オムニバス映画。

「インテリア・デザイン」(ミシェル・ゴンドリー監督)
主人公(藤谷文子)は恋人であるかけ出しの映画監督
(加瀬亮)とともに、女友達の狭い部屋に転がり込む。
彼女は新居とバイトを探そうとするが、
どちらもうまくいかずに焦り始める。

彼の作品の映写会はそれなりに好評で、
彼女は自分だけが置いてけぼりにされたような
気分になってしまう。

オチにはカフカか?乱歩か?と突っ込んだけど、
シリアスではなく何となくふわふわとしたところ
が「恋愛睡眠のすすめ」の監督らしい。

作中作のいまどきあれはないでしょう
みたいな実験映画(!)とか

掃除機のホースのようなものを数珠みたいに
首に掛けて歩いても、東京の雑踏ではまったく
違和感がないのが分かった(笑)シーンなど
結構ツボだった。

「メルド」(レオス・カラックス監督)
怪人が登場するまさに怪作。

マンホールから現れた隻眼の怪人が、
ゴジラのテーマにのって、
道行く人々を通り魔のように襲っていく。
奪い取って食べるのはお札と花弁のみ。

彼は下水道に住みついている。
そこには旧日本軍の戦車の残骸があったり、
手榴弾が大量に備蓄されていたりする。
その手榴弾を使って無差別大量殺人を行う。

この怪人は外国人だけど何人か分からない、
世界で数人しか理解できない言葉を喋るという設定。
犯行の動機は、日本人は長生きしすぎで
目が女性器に似てるいて嫌いだったから、
なんていうトンデモなもの。

「メルド」ってク○というお下品な意味らしい、
そういえば「糞」という文字のネオンサインを付けた
ありえないビルが映ってた…ウケる。

全体に数年前にまとめて見た「ウルトラQ」風の
テイストを感じた。このB級感がたまらない!
最初から最後まで力業で突っ走った法螺話だった。
拘置所長役の嶋田久作もインパクトあり、
なにしろ元怪人(@帝都物語)だから(笑) 

「シェイキング東京」(ポン・ジュノ監督)
語り手の男(香川照之)は10年以上ひきこもっている。
ピザの配達人(蒼井優)の片足ガータベルトに
気をとられ、ふと目を合わせたことから、
彼女のことが気になり始める。
この二人の芝居はやはり良いなあ。

蒼井優は台詞はほとんどなくて、
物憂そうな表情がすごく色っぽい。
地震で気を失ってしまった彼女の肌に
ペイントされている「COMA(昏睡)」という
ボタンを押すと目を覚ましたりする。
妙に肉感のあるロボットのイメージ。

まるで感染したように彼女もひきこもってしまう。
彼女を外へ出そうと語り手が彼女の家を訪ねる。
そのために自らが家を出ようとドアを開けたまま
一昼夜迷うシーンは印象的。

炎天下に一歩踏み出すと街には誰もいない。
また地震が起きて人々が飛び出してくるが、
地震がおさまると潮が引くたように
路上から消えてしまう…ひきこもりの街。
なかなかシュールな絵面だった。

アクの強いピザ屋の店長(?)の竹中直人や
ひきこもっている住民の一人の荒川良々などの
脇役陣もベタだけどついニヤリとしてしまう。

三作ともそれなりに面白くて
充分に楽しめるものだった。
ただレビュー等で評判の良くなかった「メルド」が
あまり期待していなかった分、波長が合ったのか
意外に気に入って、表題のような気分です。

では。また。

伯林大會ヲ觀ル

2008-10-09 23:53:19 | 映画
もうすっかり十月で
ウチの金木犀も芳しく匂っています
こんばんは

夕方ちょっと用があって出掛けると、
あちこちから金木犀のかほりが漂い
虫の音が聞こえたりして、
なかなか快適な秋の宵の散歩でした。

ところでamazonの○○をお持ちのお客様に
おすすめします が面白いので、
持っているものにどんどん印を付けていった。
まさに閑人の一人遊び(虚)だけど…

三島の「青の時代」を持っていると
高木彬光の「白昼の死角」をおすすめされる。
これは光クラブ事件つながりだと分かるが、

ザミャーチン「われら」→ゴールディング「蝿の王」
シュミット「政治的ロマン主義」→マルクス「資本論」
ガルシン「紅い花」→「ヘルダーリン詩集」
あたりになると何だかよく分からない…

ヘルダーリン「ヒュペーリオン―希臘の世捨人」から
「兼好法師家集」をおすすめっていうのは、
プログラムが副題に引かれてこんな間違い(?)を
やらかしたみたいで楽しめる。

持っているのかあやふやなものも多くて、
物好きにも所有本を確かめるために
自室のパソコンの前と父の部屋に居候させて
貰ってる本棚を何度行き来したことか 阿呆だ(^^;

探索してると本棚の奥にひっそりと
バタイユ「呪われた部分」が「ジル・ド・レ論」と
並んでたりする ビックリ箱状態(笑)

少し前にジュンクで「コスミック」の500円DVDを購入。
レニ・リーフェンシュタールの
ベルリン・オリンピック記録映画「オリンピア」の
第1部「民族の祭典」と
第2部「美の祭典」の2枚。
ドイツ語オリジナル版。ON/OFFの日本語字幕付き。

画面の上部に破線のようなものが現れたりするが、
ワンコインだと思えばあまり気にならず、
むしろ見応えがあってお得感の方が強い。

「民族の祭典」は陸上競技が中心。
冒頭のシーンが素晴らしい。
ギリシャの廃墟や人物の彫刻が長々と映し出され、
替わって筋骨隆々とした本物の人間が登場して、
前を小さな布で隠しただけのほぼ全裸に近い姿で
円盤や槍を投げる。肉体美・躍動美! 
筋肉の動きまでが良く分かる。

さらに全裸に近い三人の巫女のような女性たちが
太陽に祈るような踊りをすると聖火が出現する。

トーチリレーも実際のものではなく演出。
希臘風褌(?)だけの青年が松明に火を移し、
廃墟を走り次の走者にバトンタッチするが
周りには誰もいない。

やがて走者が短パン(上半身は裸)になり、
声援を贈る観客が現れ、
バルカン半島を北上してベルリンへ。
神話から少しずつ抜け出て、
最後はスタジアムの熱狂に
現実に連れ戻されるような感覚になる。

監督の美意識が色濃く現れたオープニング、
ここまでで約15分。

開会式には日本選手団も登場。
何故か戦闘帽をかぶってるし
ブレザーのセンスも良くない う~ん

ドイツ選手団の先頭はハーケンクロイツの大旆。
ヒトラーによる開会宣言もあるが、
祝砲が轟き鳩がたくさん飛ぶところは
東京大会とあまり変わらない。

競技の特徴に合わせメリハリのある映像。

例えば「男子円盤投げ」なら、
最初の選手は円盤の飛んでいくところも映すが、
次の選手からは投擲の一連の動きのみを追い
円盤はほったらかし。

ハードル走では、
準決勝では競り合いをややスローに再生し、
決勝では実際の速度でスピード感を出す。
棒高跳びでの体が高々と持ち上がり
バーの上を綺麗に通り抜ける映像も良かった。

アメリカのオーエンス はやー
100mが10.3秒で1位、走り幅跳びでも優勝。

マラソンはかなり端折り気味。
まるで選手がカメラを持って自分の足元を
撮りながら走っているようなアングルも…笑

男子三段跳び・マラソンなどで日本優勝。
日の丸の扇子振り回している日本人観客映る。

「美の祭典」
冒頭すっぽんっぽんの男たちが
池で泳いだりサウナに入ってる…
何だと思ったら選手村のヒトコマだった。
監督の趣味かナチスの要請か
やたらと白人男性の肉体美を強調する場面が多い。

総合馬術では馬が躍動的で美しい。
バロン西もちらと登場…
前回ロス大会の障害物競技優勝者と紹介される。
出場者は軍人が多くもうすぐ戦争が始まるこの時期、
いずれ敵味方に分かれて戦うのかと思うと
いささか複雑な気分(西も後に硫黄島で戦死)

男子飛込み。
選手名のアナウンスもなく
見事な曲線を描きながら次々と飛び込む。
最後には水さえも映らず、
すっかりシルエットになった選手が跳躍して
次から次に宙に舞うシーンが続く。

二作とも記録というよりも、こだわりを持って
芸術に重点を置いているように感じた。グート!

1936年のドイツでも開催できるなら
2008年に北京でやっても可笑しくはない
と言えなくもない(棒読み 

では。また。

4/22生まれは牡牛座

2008-09-30 02:08:17 | 映画
週末から急に気温が下がり
あたふたと長袖などを引っ張り出した
指先が冷たい者です
こんばんは

先週見た映画の感想を少々。
相変わらず書くのが遅い…ペコ

「太陽」を撮ったソクーロフ監督の
「牡牛座 レーニンの肖像」
(@神戸アートビレッジセンター)
KAVCはやはり周りとは雰囲気が全然違って
孤島というかシェルターのようだった;

時代はレーニン晩年の1922年頃。
脳梗塞(?)の発作で倒れた彼は半身不随となり
妻と妹と共に郊外の別荘で療養しているが…
隠居所に押し込められているようにも見える。

電話は通じないし手紙も来ない。
ロシアの湿気で電話線が腐るのです(!)などと
とんでもない言い訳をする警護兼監視人たち。
彼らはスターリンの意を受けて
別荘を孤立させているように見える。

レーニンは時々恍惚、時々正気といった状態。
医師は「17×22」が答えられるようになれば
回復しますよと言うが、「かける」の意味が
理解できず計算がうまくいかない。
その「17×22」がまるで脅迫観念のように
頭にこびりついてしまう。

くぐもった話し声や時計の音などが断続的に聞え、
遠慮なく屋敷中を歩き回る警護の兵士たちの長靴が
床を踏みならす重苦しい音が威圧的に響く。
別荘を覆うどこか得体の知れない不安な雰囲気が
画面全体から「もやもやざわざわ」と伝わってくる。

鑑賞中退屈はしなかった。
暗示やほのめかしに満ちたエピソードを重ねて
独特の空間を創り出す映画らしい映画だった。

スターリンが訪ねて来る。
レーニンの質問に答えて
道を塞いで倒れている木は切り刻むと言う。 

スターリンの名前は直接映画には出て来ない。
レーニンはその訪問者の名前が思い出せず妻に尋ねる、
妻は夫に耳打ちするが観客には聞こえない。
彼はそれに対しては厳しい名だと感想を述べる。

さらにカーメネフ(石)・ルイコフ(咆哮)
モロトフ(ハンマー)の名を挙げて
彼らは誰を脅かしたいのか?と呟く。
スターリンは「鋼鉄の人」の意味だし、
レナ川にちなむレーニンに比べて穏やかじゃない。

上に登場する名前は地下活動をするための偽名変名。
政権を奪取して(一応)正式な政府の指導者たちが
揃って変名のままというのもやはりヘンな国だなあ。

最後のシーンは印象的だった。
近くの森へ妻に車椅子を押され散歩に出たレーニン、
ところが妻は急用で呼ばれ、彼は森に置き去りにされる。
画面は緑一色のように色褪せる。
遠雷が聞こえ風が吹き森の木々もざわめく。
焦ってイライラとしてもどうしようもなく
ふと空を見上げる。

画面は自然な色合いに戻って、
空を半分も蔽いゆっくりと風に流れる白い雲の群
とその合間の空の青がとても美しい。
彼の心は安寧を得られたのか。

映画のタイトルはそのまま
レーニンの星座だった(笑)

帰って本棚をごそごそやっていたら
「ドキュメント現代史1 ロシア革命」(平凡社)
があってその中に「レーニンの遺書」(抄)なんて
ものが入っていた。面倒なのでパラパラしただけ。
口述だけど政策を小難しく論じたり、
他人の欠点をあげつらったりもしているから、
映画の病状はフィクションも入っているのか?
ちなみにあの別荘は本人が実際に療養したもの。

↑の本の編者の松田道雄といえば
「世界の歴史22 ロシアの革命」(河出文庫)の著者。
σ(^_^;のロシア史の座右の書。愛読書。
デカブリストの乱からトロツキーの暗殺までを、
アカい敷居の向こう側へ逝ったままにはならなかった
良識人が客観的にかつ熱を込めて綴った名著!

「怪人二十面相・伝」
文庫化を見逃して単行本を買ってしまったのが
いかにも悔しくて、小学館文庫版の(2)発売の
10月初旬までには読んでしまうぞと決心したものの セコイ;
図書館本を借りすぎて手が回りそうにない。噫。

では。また。

もうお彼岸

2008-09-23 17:18:23 | 映画
ですね
日没前に更新です(^^;
こんにちは

久方ぶりにお墓参りに…
普段罰当たり者なので
ご先祖様によく謝るために
家族について行って来ました。

先日「デトロイト・メタル・シティ」鑑賞。
(@シネ・リーブル神戸)

根岸崇一(松山ケンイチ)は大学進学のため上京、
彼にはおしゃれなポップ・ミュージシャンに
なりたいという夢があった。
そして「デスレコーズ」の新人募集に応募するが…

デスメタルの人気バンド「DMC」の
ギターボーカル「ヨハネ・クラウザーⅡ世」となり、
過激な曲「SATSUGAI」(!)が大ヒットして
カリスマ的な存在になってしまう。
悪魔風メーキャップで額に「殺」の文字。
「肉」よりずっとインパクトがある 笑

人気とは裏腹に根岸は自分がやりたい音楽は
こんな音楽じゃないと悩んでいる。
再会した大学の同級生で憧れの相川さん(加藤ローサ)
に正体がばれないようにドタバタ。

クラウザーさん以上に強烈キャラなのが
デスレコーズの女社長(松雪泰子)。突っ走りすぎ。
タバコを自分の舌で消したり、
やたらファッ○とか下品な言葉を連発したり、
おしゃれなポップスに未練な根岸に回し蹴りとか、
無茶苦茶な言動なのに妙に爽快。

DMCのコアなファンたち(大倉孝二、岡田義徳 他)
まるで教祖と信者のように、
クラウザーさんの言動を都合良く解釈して
一言ある大倉さんの台詞にはウケた…

そのファンたちによる東京駅からの誘導シーン、
徐々に数を増して街を疾走する異形の集団、
根岸が好きな「NO MUSIC, NO DREAM」という言葉が
DMCにも当て嵌まることを示したような場面。良かった!

伝説的デスメタルのジャックとの対決も圧巻。
牛を飼ってる農家育ちが役に立つとは(笑)

原作は全く知らなかったけど、
だれる場面がなく楽しめる映画だった。
根岸の葛藤さえも充分可笑しい、
デスって会社名でまず気付けよ!だし…

根岸が自作のあま~いポップソングを
歌うときの異常なほどの身体クネクネ、
相川さんの空気読めなさ加減などもツボ。

この秋は結構見たい映画があって
「TOKYO!」「ブロークン」などに食指。

「TOKYO!」は東京を舞台にしたオムニバス。
「恋愛睡眠のすすめ」のゴンドリーの
ふわふわとしたファンタジックな映像に期待。 
他にも東京におフランスの怪人が出現したり、
蒼井優と香川照之(イチゴ娘・笑)の共演があったり。

「ブロークン」は「フローズン・タイム」の監督の二作目。
前作が少年~青年の性妄想風のネタ満載なのに
下品にならず美しく洗練された映像だったので、
今回の「鏡」をトリックにヒロインが「もう一人の自分」
という恐怖に遭遇するサスペンスものも楽しみ。

先週「シネカノン神戸」閉館のお知らせが来た。
今年の12月20日で終了…落ち着いた雰囲気で
好きな映画館のひとつだったので残念。
プロメナ神戸との契約更新の条件が折り合わなかったとか…

では。また。

訂正がてら

2008-09-06 01:45:54 | 読書
ちょいと更新です
こんばんは

前回エントリの北村想「怪人二十面相・伝」
他に現行本がないように書いたけど、
映画化のおかげか小学館文庫から新しく
9/5に発売だそう。ニ分冊(2は10月発売)

二段組の単行本より文庫の方が読み易い
に違いないし、価格も二冊合計でも
あちらの方がお安い。あ~あ迂闊(-_-;)

ここしばらくで読んだ本を覚書メモ風に…

橋川文三「日本浪漫派批判序説」
日本ロマン派について語られる場合に
よく引用される本、ぜひ通しで読んでみたかった。
些かペダンティックな文章だったが。

日本ロマン派を昭和10年前後のインテリゲンチャの
絶望的な自己主張から生まれ、退廃とイロニーを
表現方法とした退行的な行動様式を持つと定義。

このロマン主義は明治末の啄木の時代まで
遡ることができる…所謂「時代閉塞の現状」。
当時の青年たちが良く使った「何か面白い事は
無いかねえ」を啄木は不吉な言葉だと書いている。

私はこういったものに惹かれていたのか…
しかしこの「絶望的な心情」などは、
つねに再生産される「昭和精神史の基音(トニカ)」
とあるので左程アナクロでもないと言い訳。マアイイ

直接日本ロマン派とは関係ない箇所に面白い指摘が、
まだ新進作家だった石原慎太郎の特徴として
そのパーソナリティの異常な古さだと辛辣に批評する。
橋川の方が十歳程も年長なのに面白い、
しかも何となく肯けるし…笑

橋川文三「昭和維新試論」
こちらはだいぶ文章が読み易くなっている。
昭和維新思想の源流を、明治日本が「帝国日本」に
変貌していく明治30年前後に、青年時代を迎えた
人たちの不安や疎外感に求める。

渥美勝というエリートコースを歩んだものの、
大学時代煩悶に囚われドロップアウトして、
奇妙な放浪的生涯を送った人物を通して
この不安・疎外感を探っていく。

なかなか魅力的な人物だ。
写真を見た橋川の感想によると、
気品が漂い卑しさとは無縁の風貌だったとか。
さもありなん。

維新運動を明治維新の補完と捉え、
内務省の若手官僚による地方改良運動、
平沼騏一郎の国本社などが詳述され、

そして支配層と在野右翼によるそれぞれの
「昭和維新」の異同の検証がなされるが、
この部分が駆け足で未完なのが惜しまれる。

渡辺京二「北一輝」
熱い評論。上質のミステリーのようで
北の人物と著作の謎解きがスリリングだった。

北についての先行する多くの著作を斬りまくる。
松本清張はテクストがことごとく読めていない、
基本的な素養が欠如していると散々。
「張り扇の音がする」という感覚はいかにも作家らしいと
ほんの少しはほめている(?) 松本健一も然り。

北が中学を落第退学したため自我が崩壊した
という意見(竹山護夫)に対しては…
彼はこのわずか五年後に天才的な著作
「国体論及び純正社会主義」を書いた人物だぞ!
(それしきのことで崩壊するわけなかろう)

晩年北があちこちから付け届けを貰い
それを生活費や遊興費にも使ったことを
堕落したと批判する人たちに…
そんなことで堕落する思想は思想の名に値いせぬ、
などと大見得を切る熱さが良い。

以下の北の思想の解釈もユニークで、

維新革命を経た明治30年代の日本は
帝国憲法の水準では社会主義国家、
教育勅語と藩閥政府の水準では専制国家、
経済制度の水準では資本制国家である。
故に第二維新は憲法違反の専制の無化と
経済革命のみで充分であると。

他の社会主義者に反して日露戦争を支持したのは、
土地と資本の公有を図るのは国家であり
その国家がスラブ蛮族により蹂躙されれば
社会主義の実現もなくなってしまうから。
帝国主義は社会主義の前提であり、
祖国防衛だけではなく大陸への進出も主張する。

目から鱗の刺激的な本だった。
他の著作「逝きし世の面影」「神風連とその時代」
にも食指が。噫読みたい本がどんどん増える フウ

こんなものやってみました。

結果はテスト1~3がそれぞれ推定語彙数は
64800、61500、58200。
少なくはないと思うけどかなり不本意。
「糸道」なんて生まれて初めて見た!
このテストはある時点で知らない単語に遭遇すると
それ以後知った単語があってもカウントされない。

判定方法違っていたようです。失礼。○┓ペコ

上の三冊では結構知らなかったり正確に意味の
取れない熟語があったりで…怠惰だからなあσ(^_^;

では。また。