「お湯が出なーい!!!」
娘の叫び声で目が覚めた。
仕事に行かなければならない娘は、水のシャワーを浴びて
出て行った。
真冬にまさかの給湯器故障…
今日は3月11日だ。
贅沢に慣れすぎた私たちを戒めるように
神様が起こした出来事だったのかもしれないなと思った。
2011年3月11日、東京でもかなりの被害になり、
私たち家族はバラバラのまま一晩を過ごした。
2匹で寄り添うように耐えていたモモとナナも
心細い夜を過ごした。
何をどう暴れたのかはわからないのだけれど、
家に帰ると、ナナの足は出血していて、
そこの部分は、もう二度と毛が生えてこなかった。
何日も余震が続き、
寒くて、暗くて、食べ物がなくて、
心細い思いをしたはずだったのに、
月日が流れ、だんだんと記憶が薄れていたのかもしれない…
給湯器は結局簡単に直り、
夜は温かいお風呂に入った。
お風呂の中で、
「温かいお風呂に入ることができることが
とても、とても幸せなことなんだ」
と思い出した。