それまで、漢方薬やらでなんとなくやっていた妊活。しかし、私の退職のタイミングで妊活を早く進めたい思いもあり、地元の大学病院へ行った。
しかし、妊娠はしなかった。
そこで、たぶん不妊治療をしている方なら誰でも知っている「キツネ医院」(仮名)。ここに行ってみることにした。
実は私は以前ここを訪れたことがある。しかし、余りの人の多さに「いつ呼ばれるの…」という途方もない感覚と、医院から漂う、なんだかわからない上から目線が気になり、途中で帰ってしまったのだ。
そして、まず始めにそこの院長から言われた言葉は「ジョセイノモンダイデスネ、ダンセイハドウニカナリマスカラ」。
私はモンダイなの?私がモンダイなの?男性はどうにかなるってなに?…
確かに、夫は顕微授精であればモンダイはない身体だ。ただ、私の40の身体がモンダイだと言うこと。
もし、それまでの私なら「治療はけっこうです。帰ります。」と言っていたのかもしれない。いいや、言いたかった。
でもあのころの私は、「この医院が最後の砦かもしれない。何があっても、子どもがほしい。」と、半沢直樹の大和田常務までの土下座はしなかったが、それくらいの心持ちで「よろしくお願いします」と机に付くくらい深々と頭を下げた。