個人間精子提供におけるシリンジ法は提供を受ける依頼者側はもちろん、ドナーにとっても根気が必要です。
依頼者の排卵日に合わせて毎月スケジュールを割かなくてはいけません。そしてみんながみんな2ヶ月や3ヶ月で成功するわけではありません。
簡単に考えている人ほどストレスが積み重なっていきます。期間が長くなれば長くなるほどドナーとしての資質が問われるのです。間違っても、成功を急ぐ気持ちや報われない気持ちを発散するためにセクシャリティが対男性でない人やパートナーがいる女性に、次回からはタイミング法にしようなどとドナーから打診してはいけません。たちまち関係が崩壊します。
そこで、依頼者とドナーの関係悪化を予防するには
(1)シリンジ法の期限を予め決めておく
(2)ステップアップの選択肢を予め話し合っておく
(3)謝礼や日当などの形でドナーが提供により奪われる時間を補填してもらう
など対策するといいと思います。
(1)(2)はシリンジ法しか現実的な選択肢がないとしても期限を設けておかないとドナーの負担が増すばかりです。
自己流タイミング予測からクリニックでのタイミング療法に切り替えるとか、不妊症検査を追加で行うとか、シリンジ法の中でも改善の余地はあります。
また、予め決めた期限が来たら終わりということではなく、継続することを契約更新してもいいです。大事なのは依頼者とドナーとの契約を見直すタイミングを設けることです。
(3)について、お金というモチベーションがあれば長期間でも続けられる気持ちになりえます。
(前提として、ボランティア=無償、ではないという考えでお話します。綺麗事だけでは長期間やっていけません)
「提供がなければもう少し稼げたけどこれで埋め合わせよう」とか
「これでおいしいものでも食べて精をつけよう」
などと思えるか思えないかで心境は違ってきます。無論、高額にするべきではありません。個人的な考えですが、
拘束時間(h)×1000円
程度かなと思います。
また、そもそもの交通宿泊費負担が大きい依頼者の場合は、さらに負担を求めるべきではないとも思います。