国内に民間の精子バンク「みらい生命研究所」が誕生するという報道が複数メディアからありました。獨協大学の岡田教授が代表を務め、民間といえど公的な側面を持つバンクになりそうです。
【独自】民間精子バンク、1件15万円で提供へ…提供者は「非匿名」か「匿名」を選択
闇取引に歯止め「精子バンク」の運用開始 「出自を知る権利」ドナー減少が課題(夕刊フジ)
本記事では、この精子バンクはどんな人が利用できるのか、ドナーは誰がなれるのかなどの情報をまとめてみました。
Q1 誰が利用できる?
A1 AID(非配偶者間人工授精)を実施している病院で治療を受けている不妊治療中の法律婚した夫婦(ソース:LGBT当事者団体の方から)
よって、独身女性や女性カップルは現状利用できないと考えられます。
また、AIDを実施していない不妊治療クリニックでは利用できません。
さらに、AIDを利用するには夫婦で審査を受ける必要があります。精子提供以外に妊娠する術がないことが第一条件となり、射精障害や精子無力症など、精子の回収の可能性がある方ははじかれます。来年開始といえどコロナで審査を受けるまでに時間がかかる恐れもありますから早めに動きましょう。
これは希望的観測ですが、現在AIDを中止している施設や新たにAIDを開始する施設が増える可能性も十分あります。それを期待しましょう。
Q2 要はAIDのための精子バンク?
A2 現行のAID制度では各施設自らが精子の調達を担っていた。しかし、ドナー減少(という名のリスク回避では?(私見))により各施設がドナーを確保するのが難しくなって受け入れを中止する施設が増えた。そこで精子の調達を専門に請け負う精子バンクが誕生したと考えられる。しかし、現行のAIDガイドライン等からの革新的な進歩はなく、法律婚した男女の夫婦のみを対象にするに留まる可能性が高い(私見)
Q3 いつから利用できる?
A3 2022年から
報道にもあるように、来年2022年から利用できるようになる予定です。性感染症の潜伏期間を考慮して精液採取から半年後に再度性感染症検査を行うためにこれほど時間がかかるのではないかと思います。
Q4 費用は?
A4 1回15万円。
あるAID実施施設では現在9万円ですから、それより高額ということになります。
海外精子バンク クリオスは1回7万円~と言われています。
Q5 保険適用になる?
A5 現在AIDが保険適用外なので、当然保険適用外でしょう。自治体の助成金の対象になるかは各自治体にお問い合わせください。菅総理の公約である不妊治療の保険適用に期待し、当事者団体のアンケート等で声を国に届けましょう。
Q6 ドナーはどんな人?
A6 国内の20~40歳の医療関係者など。
ほとんどが日本人であろうことは安心材料と思う方も多いと思います。
私見ですが、医療倫理を有していることを優先しているのかと思います。
ホームページによると、医療従事者に加え、医薬品や医療機器メーカーにお勤めの方など、医療に少しでも関係していればドナー登録できる可能性があります。
なお、前出のクリオスは日本人ドナーはほとんどいません。
Q6 ドナー情報はどこまでわかる?
A6 身元開示ドナーと不開示ドナーがあるとのことです。
具体的にどんな情報がどのタイミングで開示になるのか明らかではありません。
おそらく身元開示ドナーの精子の方が比較的高額になると考えられます。
子の出自を知る権利を尊重するうえでも身元開示ドナーを選ぶべきです。
しかし現状はドナーが認知請求や養育費請求を受けると負ける状況であるため、
ドナーを守る法律の整備も必要です。
Q7 ドナーになるには?
A7 医療関係者になる。医者、看護士、医学部学生などでないとドナーになれないのではないかと考えられます。薬剤師、放射線技師、臨床検査技師、歯科医師、歯科衛生士など、どこまでが対象になるかは不明です。一般人がドナーになれる情報はありません。
Q8 体外受精に使える?
A8 学会の方針変更で将来的に可能になる可能性あり
AIDを補完する仕組みになる可能性が高いため、今のところ体外受精への適用は望みが低いと考えます。
しかし、学会が、女性側にも不妊要因がある場合など、第三者提供での体外受精の適用を一部で認める方針を示したことで将来的には体外受精が可能になる望みが出てきました。
クリオスは現在でも体外受精に使う選択肢があるようですが、実施できる病院は限られるようです。また、初診まで3ヶ月待ちという情報も見聞きしました。
Q9 ホームページはある?
6/27にホームページを確認しました。現在は暫定的な内容でした。
以上、2021/6/28最終更新。
☆新しい情報が出次第更新していきます。間違った情報があった場合適宜修正します。
いろんな情報を整理して総合的に考慮いただいたうえで、個人ドナーを選択するのであれば、
その選択に間違いはないと思います。
子供を持つことを考えに考え抜いた結果なら、自然に子供ができた人よりも
子供をもつことの意味や覚悟を持っていると言えます。
実際に提供に進むかは別として、ご相談だけでも受け付けております。