これは第2次世界大戦の末期の、長期の地上戦が決行された沖縄を舞台に、沖縄県民の命を守ろうとした兵庫出身の知事と栃木出身の警察部長という2人の官僚を中心に描いたもので、当時を描いた映画といえば、「ひめゆりの塔」は何度か映画化されているけど、市井の人たちでも軍人でもなく、官僚側から描かれているのはあまり観たことがなかったかも。
しかも、県知事も警察部長も沖縄出身でないところが切ないというか、何かというと死を迫る軍や国に対して“生きろ”と声高に言い続けた2人に胸が熱くなった、演じた萩原聖人さん、村上淳さんにも拍手。
県の職員で県知事をサポートする役で登場の吉岡里帆ちゃんが、明るさを封印しながらも出てくるだけで周りが明るくなるようで、妹役の池間夏海ちゃんの凛とした雰囲気と共に救われた思いだった。
そしてなんといっても印象的だったのが、上司の“生きろ”を守って生き抜いた吉岡里帆ちゃん演じる比嘉凛のその後を演じた香川京子さん!
1931年生まれというから90歳過ぎているけど、まだまだお綺麗なその姿に刻まれた年月も見えてきて、女優さんとしての歴史も感じられて圧倒された。
ウクライナのこともあるし、終戦記念日も間近い今、多くの、特に若い人たちに観てほしいけど、金曜日から午前中の回だけになるのが残念、上映館ももっと増やしてほしいかも。
☆あらすじ☆
「鉄の暴風」と呼ばれた激しい空襲や艦砲射撃、そして上陸戦により、約20万人が犠牲となった太平洋戦争末期の沖縄戦。絶望の淵に立たされながらも「命こそ宝」と訴え後世に希望を託した2人の人物と、戦争に翻弄される沖縄の人々の姿を描き出す。
※映画.comより
キャスト
萩原聖人
村上淳
吉岡里帆
池間夏海
榎木孝明
水橋研二
香川京子
監督
五十嵐匠
130分
G
シネスイッチ銀座1 18:10~観客20人程/271席