今日は2月14日。現世では、男達や恋する乙女たちがざわめき立つ一大イベントの日だ。
ここ尸魂界でも、本命チョコを貰おうと朝から躍起になっている男たちがいた。
朝早く、蒲公英頭の子供が大きな袋をズリズリと大きな袋を担いで隊舎内を歩いていた。
その姿を目撃した一般隊士達は今日は何が起こるんだだと頭を捻った。
蒲公英頭の子供は、名を『黒崎一護』といい、比類なき霊圧を産まれながらにして持っている。
それ故、護廷隊に連れて来られた。
一護はそのまま一番隊執務室まで行くと、ゆっくりと扉を開けた。
「じいちゃん、はいっていい?」
ひょこっと顔を覗かせて聞いた。
「おお、一護か。入っておいで。」
一旦、下ろしていた袋を担ぎ直すと、ズリズリと部屋の中へ入って行った。
「どうしたのかのう?」
「あのね、今日は現世でバレンタインって日なんだって。で、いつもおせわになっている人におれいする日なんだって。」
袋の中に顔を突っ込んで何やらゴソゴソして2つの箱を取り出した。
「はい、じいちゃんとささきべさんに。チョコだよ。」
「おおそうか、すまんのう。」
「じゃあね、他も今からまわるから。」
又、袋をズリズリと引き摺って、二番隊執務室を目指した。
「そいふぉんいる?」
「おお、一護でわないか!」
ピョコっと顔を出した一護に先に反応をしたのは、偶然居合わせた夜一だった。
「きゃ~、よるいちさんだ~♪」
「一護、その袋は何だ?」
砕蜂が仕事中の手を休めて聞いてきた。
「今日はね、バレンタインなの。だからね、みんなにくばってるの。はい。」
砕蜂と夜一にもそれぞれ箱を渡した。
「そうか、一護有り難く頂くぞ。」
「有難う。」
「でね、そいふぉんコレおおまえださんに渡して。」
砕蜂と夜一よりも少し小さい箱を渡した。
「大前田にか?分かった。」
本当は、何故あ奴に・・・と思ったが、一護の手前そう言う訳にもいかず、箱も1回り小さいのでそれで了解した。
「じゃあね。」
次は三番隊執務室に向かった。
「イヅルさんはいっていい?」
「一護くん、どうぞ。」
イヅルは扉を開けてあげた。
「あ~、いっちゃんや~!」
「あれ?ギンだー!すご~い、ギンがまじめにおしごとしてる~!!!」
「い・・・いっちゃん、それはないで~」
「一護くんにそう言われたく無かったら毎日真面目に仕事して下さい。隊長!」
「え~、それは無理やで~。イヅル、いい加減コレ解いてくれへん?」
ギンはイヅルに因って、椅子にロープで括り着けられていた。
「駄目です。最低でもその書類が全部終わるまでは駄目です!」
イヅルの指し示した所には、書類の山が2つドドーンとそびえ立っていた。
「今日はどうしたの?」
「んーとね、今日はバレンタインだから。」
ギンとイヅルにそれぞれ同じ大きさの箱を渡した。
「有難う、一護くん。」
「あ~流石いっちゃんや~!けど何でイヅルまで貰っとるん?」
「隊長・そんな事に愚痴口言ってないで、とっとと仕事して下さい!」
「じゃあね~、ギンもおしごとがんばってね!」
さて、一護は四番隊へ向かった。
「れつさーん、いさねさん、はなたろー。」
「あらあら、一護さん。」
「はい、バレンタインのチョコ~」
「有難う御座います。」
「あ、有難う御座います。」
「ぼ、僕にもですか?有難う御座います、一護さん。」
そして五番隊へ。
「そうちゃんー、ももちゃん~。はい。」
「あ、一護くん。チョコ?有難う。」
「一護くん、ありがとう。お茶でもどうかな?」
「んん、いい。ほかにもいかなきゃなんないから。」
六番隊。
「びゃく~、れんぢ~。」
「一護ではないか。如何した。」
「はい。バレンタインのチョコだよ。」
「うむ、有り難く頂こう。」
「一護ー、サンキュ~な!」
七番隊。
「こまさん、てつざえもんさん。はい。」
「ワシにか?すまんな。」
「ああ、有り難く頂く。」
八番隊。
「きょうらくさん、ななおちゃんにも。」
「一護ちゃん~!おじさん、嬉しいな~」
享楽が一護に抱き着こうとした所で、七緒により一護は庇われた。
「隊長、セクハラです。」
「な、七緒ちゃん~」
九番隊。
「かなめちゃん、しゅーへー!」
「お、一護じゃねーか。ん、どうした?」
「はい。」
「お、チョコか。サンキューな。」
「有難う、一護くん。」
「んん、おれいだからいいよ!」
十番隊。
「しろー、らんちゃん~。」
「きゃ~、一護ちゃんだ~!んー、相変わらず可愛いわ~♪」
乱菊は一護を胸に抱きしめた。
「ん”~ん”~」
「おい、松本いい加減離してやれ。一護が窒息しかかってるぞ。」
「え、あらごめん~」
「で、どうしたんだ?」
「はい、バレンタインのチョコ。」
「あら、良かったですねー。隊長。」
「うっせー。一護、有難う。」
「有難う、後で頂くわね。」
十一番隊。
「はい、けんちゃん・やち・いっかく・ゆみちゃん。バレンタインのチョコ。」
「おー。」
「いっちー、ありがと~。」
「おうよ!」
「有難う。」
十二番隊。
「きすけー、まゆりさん、ネムさん。」
「一護さんじゃないですか。有難う御座います。後で有り難く頂きますね~。」
「フン、仕方ないカラ貰ってやるヨ。」
「有難う御座います。」
十三番隊。
「じゅうしろー、かいにー、きよね、せんたろ~。バレンタインのチョコー。」
「有難う。」
「おー、サンキュな~。」
「有難うね。」
「おう!」
「かいにー、これくうかくねーとがんじゅとルキアにわたしてね。」
「おう!まだどっか行くのか?」
「うん、ひみつ!!!」
さて、最後に残った異様に大きな箱。
その箱を持って、一護はとある場所を目指した。
この本命チョコにいく先は一体誰の所か・・・・。
本命チョコを受け取る事が出来るのは一体誰か。
それは、一護のみぞ知るという所だろうか。
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