一護の災難

ウルキオラは藍染からのちょとした頼まれ事の為に現世へと降りて来ていた。
用事は終わったものの、そのまま帰る気も起こらず何となく足の向くまま歩いていた。
川の近くに差し掛かり、ふと足を止めた。
小さな塊が視界に入った。
よく見ると、オレンジ色の髪の子供だった。
髪の色を見て、ウルキオラは死神の黒崎一護を彷彿させると思った。
何故かその子供から、溢れ出る霊圧を感じるので探っててみた。
霊圧は黒崎一護の霊圧と酷似している。
ウルキオラはそのまま足をその子供に向けた。

直ぐ側まで行くと襟首を摘み猫を持つようにして、目の前まで持ち上げた。
「な、何すんだよ！！！」
一護は突然持ち上げられうろたえた。
良く見ると、相手はウルキオラだ。
「…黒崎一護か。その姿はどうした。」
「…………。」
「浦原喜助か。」
「～っ何で分かった！！！つーか、降ろせ！！！苦しいんだよ！」
「ああ、済まなかったな。大体の予想はつく。」
ウルキオラは一護を地面へ降ろした。
「はー、ちょっと苦しかったぞ！！！」
その場へ一護が座り込むと、その横にウルキオラも座った。
「っつったく、あのクソ浦原め～！！！人の体を実験体にしやがって～！！！」
「なかなか大変だな。」
「そうなんだよ！聞いてくれるか！？
浦原のヤツ偶然出来た薬を飲ませやがったんだ！しかも、解毒剤創れっつったら『出来るかどうかわかりませんよ～！何せ、偶然出来たモノですしねぇ～。ちょっと無理そうな確立の方が高いですけどねぇ。』何て言うんだぜ！！！」
酷いだろ？とウルキオラにしがみ付いた。
流石のウルキオラも少し一護の事を哀れに思った。
「なら、虚圏に来るか？十刃の中に、研究好きなヤツが居るからもしかすると戻れるかもしれないが。」
「マジで！？行く！！戻れる可能性があるならこの際何でも良いよ。」
「なら行くか。」
一護とウルキオラは立ち上がった。

ウルキオラはこっそりと笑み、戻れても何かと理由を付けて一護を虚圏へと留めてやろうと脳内で計画を立てた。
この際、藍染様に協力を仰ぐのも良い。
まずは虚圏へと帰ったら藍染様に報告に行かねばならないなと。



ウルキオラは一護を連れて誰にも知られる事無く、虚圏へと帰って行った。