2018 鹿児島大学 入試問題(出題内容と傾向) ～化学～

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　鹿児島もだいぶ肌寒くなってきましたね。気温の変化で体調を崩さないように気を付けていきましょう。
さて、今年度は皇徳寺校の開校やその他のプロジェクトで例年の作業が遅れがちでした。受験シーズンも近付いてきましたので、鹿児島大学の入試問題の出題内容と傾向をブログにもアップしていきたいと思います。無料教育相談や定期面談(在籍生)向けに作成しているオリジナルデータからの抜粋になります。




　では2018鹿児島大学前期日程の化学についてコメントしたいと思います。


　今年度の鹿児島大学の化学の大問数は2015年度と同じ5題で昨年度よりも1題多くなっていました。医学部医学科では試験時間がこれまでは2科目180分でしたが、2科目150分に変更となりました(1科目あたり15分の短縮)。これに伴い、医学科専用の問題になることも考えられましたが、例年通り他学部と同じ内容です(他学部は1科目90分)。元々時間が長かったこともあり、15分の短縮は特に問題はなかったと思われます。

今年度の出題内容を確認していきましょう。


[1]　有機化合物

　不飽和炭化水素の総称、アセチレンの付加生成物
　アセチレンの製法、脂肪族化合物の示性式
　炭素原子間の結合距離の比較
　マルコフニコフ則
　ポリビニルアルコール合成における酢酸ビニルの必要質量
　2級アルコールの酸化
　縮合と無水酢酸


[2]　アミノ酸

　双性イオンや検出反応
　ニンヒドリン反応
　グルタミン酸
　電気泳動によるアミノ酸の移動
　アラニンの反応生成物
　アラニンの反応名・結合名


[3]　小問集合8題(選択肢形式)

　グルコースとフルクトースからなる糖
　油脂を分解する酵素
　濃硫酸の性質
　ハロゲン化合物の性質
　シス-2-ブテンの構造
　芳香族化合物の名称特定
　結晶の種類が水と同じ物質
　浸透圧


[4]　状態変化(熱化学)と化学平衡

　状態変化における熱量と比熱計算
　沸点時温度一定となる理由と現象名
　条件変化による平衡移動と反応速度変化
　ヨウ化水素生成反応における平衡定数と濃度　
　

[5]　金属イオンの系統分離と沈殿滴定

　系統分離における沈殿の色や操作内容、沈殿の化学式
　系統分離における操作(酸性条件下で硫化水素)
　系統分離における操作(煮沸後濃硫酸、塩化アンモニウム、アンモニア)
　系統分離における操作(塩基性条件下で硫化水素)
　系統分離における操作(酢酸酸性で煮沸、アンモニア、炭酸アンモニウム)
　銅(Ⅱ)イオンの反応(沈殿と錯イオン)
　塩化ナトリウム溶液調製の質量計算
　実験器具名と溶液調製手順
　硝酸銀溶液による沈殿滴定(塩化物イオン定量)



　今年度は基本内容が中心で特に変わった問題もなく、解きやすい内容であったと思います。ここ2年ほど出題されていなかった滴定・定量計算が出題されました(鹿児島大学は定量系の問題が頻出)。過去問演習を十分に行っていればそれがとても良い対策になっていたはずです。基本を大切に標準レベルをきっちり固めていれば満点も取れる内容であったと思います。特に医学部医学科や共同獣医学部を受験する生徒さんの場合は高得点(出来れば満点)が必須です。計算問題の量は例年に比べ減少し、論述問題も2題と激減しています。鹿児島大学の化学の問題は難問はありませんが、解きにくい(どう答えたらよいか分かりにくい、基本用語についての細か過ぎる知識を問う等の)問題が一部出題されることがあります(今年度はありませんでした)。しかしながら取るべきところでミスなく得点できれば、化学で足を引っ張ることはないと思います。


　過去問演習では、ただ単に問題を解いて訂正して終わり、というのではなく、問題の関連事項まで手を伸ばして勉強しておくことが大切です。
例えば、
[1]ではマルコフニコフ則やザイチェフ則について復習をしておきましょう。
[2]では特徴のある代表的なアミノ酸の構造をしっかりと覚えておきましょう。
[3]では糖の構造を把握しておきましょう。2016年度にも部分的な構造が問われています。核酸塩基等の部分構造等が問われた年もあります。
[4]では平衡移動による生成量の変化と反応速度の変化を混同しないようにしましょう。
[5]では系統分離における細かい操作の意味までよ～く理解しておきましょう。塩化アンモニウムを加える理由や酢酸酸性下で煮沸する理由、アンモニアを加える理由等です。少々難しい内容です。この問題ではそこが分からなくても答えは導きやすかったと思います。後半の文章Bは沈殿滴定の一つであるモール法の説明ですが、問題ではモール法の計算は出てきませんでした。なので、モール法の計算問題も練習しておきましょう。



【過去の鹿児島大学化学について(ブログアップ分のみ)】
2017年度
2016年度



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※上記は2017年度版です(2019年度版作成済)。
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