ごしごしと座り込んで磨きながら、つらつら思いだす。
娘が高校生の時、バーバリー風のマフラーをプレゼントしました。
「ありがとう」と言うもののあまり嬉しそうじゃなく、
気がつけば一度も見に着けなかったように思う。
あるとき
「お母さんこのマフラー偽物だとわかるよ、みんな本物を巻いてるから、お母さんはブランド物を一枚も持ってないね」
ブランドという意識はなく、100パーセントウールだし、なんだか流行っているようだから買ったけど。
高校生でもブランドのマフラーなんだ!
そして私が有名な海外のブランドの服やバックを持っていないと娘が口に出したことが、ショックだった。
考えてみれば、エルメスのスカーフを海外出張の時、夫がお土産で買ってきたぐらいだ。
それでも私にはビックな贈り物で今も大事に身に着けています。
お兄ちゃんが私大であなたも私大希望、夫はゴルフをするし、私は専業主婦。
普通のサラリーマンなんだよ。
シャネルほしいからパートをしている奥さんもいるけど、何カ月も貯めてバックを買うのだよ。
お母さんがブランドに走ったら、あなたは私大には行けないのよ。
娘には何も言わず、言えば喧嘩になると思うし、頭でわかっていても口に出して言ってしまうこの年ごろ。
しばらく気が抜けたような数日だった。
それから無事大学を卒業し、その後も数年大学に行き、働き出して娘がお給料をもらったとき
いままでどうもすみませんでした
と封筒に黒ペンで書いてあり、結構な金額が入っていた。
「好きなものを買って」
照れくさそうにぶっきらぼうに言う。
私は嬉しくて「ありがとう」と大きな声で言った。
そしてボーナスのとき、京都歌舞伎座を三人分奮発してくれた。
お母さんは京都歌舞伎座の良い席は初めてだよー
うれしいよー
封筒は大事にとってあるよ。
中身は韓国旅行に使ったよ。
古い家具で傷だらけだけどきれいに磨けた!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/17/b0/556bd6b735d43611b9b4edfe6ff2c800_s.jpg)