美空ひばりといえば、「川の流れのように」、「愛燦燦」、「真っ赤な太陽」、「港町十三番地」、「悲しい酒」などがよく知られているが、軍歌・戦時歌謡もかなり歌っていた。インターネットで検索してみると、以下のような曲がヒットする。
クリックするとリンク先を視聴できるよ。
戦友
九段の母
戦友の遺骨を抱いて
これはほんの一部であるが、他にもこんな曲を歌っているので、お時間のある方は聴いてみてはいかがだろうか。
麦と兵隊・同期の桜・露営の歌・軍国の母・ラバウル小唄・暁に祈る・異国の丘、など……。
美空ひばりがこのような歌を歌っていたからといって、戦争や軍隊を賛美しているわけでは決してない。それどころか、「戦争はいけない」、「戦争はいやだ」ということを願っていたのだと思う。
昭和20年5月29日の横浜大空襲に関して、文献を見る限り、美空ひばりは何も語っていないが、4月15~16日の空襲については自伝に書いている。この日は鶴見区・西区・保土ケ谷区・港北区・中区・南区・磯子区が爆撃されており、ひばり一家はできたばかりの防空壕で難を逃れたという。
彼女の父親はすでに招集されていたから、母親と小さい妹弟たちと一緒にこの空襲を体験したのだった。そんなことから、「戦争はもういやだ」と思っていたに違いない。
美空ひばりは軍歌・戦時歌謡とは違う、こんな歌を歌っている。
「一本のえんぴつ」
これは広島の原爆をテーマにした歌であるが、このレコードのB面には「八月五日の夜だった」という曲が入っている。原爆投下の前夜の出来事を歌っているのだ。
また、こういう曲もある。
「白い勲章」
特攻隊員として出撃し戦死した宅嶋徳光の手記をもとに作られた曲だが、美空ひばり自身が2番を補作詞している。
毎年、8月にはこういう曲を聴いてみるのはいかがだろうか。
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