今日の俳句「つくづくし」

つくづくし鞄を畦に家遠し
若き日や茅花の茎のほろ甘き
寄り添いて眠るチワワや春嵐
よろよろと棹の沈みて栄螺かな
百二百薔薇の赤芽のあえかなり

今日の俳句「辛夷咲く」

薔薇の芽の揺れのかすかや朝ぼらけ
春動くひとり遊びのチワワかな
辛夷咲く熊も眠りを覚まし居り

今日の俳句「雪解川」

切り岸の醜草けずる雪解川
たんぽぽに小犬のじやれて朝の風
山かずら斑雪とともに消えにけり
啓蟄や届きし包み解きており

今日の俳句「雪代山女」

浮石や雪代山女逃したり
楤の芽に巻きつく毛鉤日の出かな
春めきて私服になりし事務所かな

今日の俳句「木の芽」

畦駆ける雉の鋭声や朝ぼらけ
春塵や荒き波呼ぶ利根川原
ビル風の渦巻く街の木の芽かな

今日の俳句「木の芽」

寄り添いて佇み仰ぐ春茜
木蓮の蕾は同じ方に向き
雨の中小犬駆けるや春炬燵
もこもこと土の隆起や揚雲雀
たんぽぽや噴煙南に流るる日
佇めばほこほこ木の芽芽生えけり
とつとつと時計の音や朝寝して

今日の俳句「柳の芽」

風に揺れ水にたわみし柳の芽
毛鉤追う雪代山女反転す
黄水仙同じ方へと咲きにけり

今日の俳句「たんぽぽ」

たんぽぽや鹿の子斑の浅間山
春の土割りをり青芽尖りけり
上州の庁舎の揺らぎかぎろえり

今日の俳句「辛夷」

山風に負けず沸きいる雲雀かな
火の山も斑雪なりけり辛夷咲く
春雷や三代にして卸成る

今日の俳句「風光る」

ひとひらの紅梅掬うたなごころ
雲一朶浅間山頂春兆す
滅入る日はチワワと共や風光る