偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

march madness の次が April Foolなんて小粋ぢゃないか。

●戌年なのに「西遊記」に「キングコング」に…

2006年01月10日 06時43分22秒 | ◎映画・音楽・エンタ
 2005年第一クールのフジテレビの月9はあの「西遊記」のリメイクである。
 元々古典文学があってのことだからリメイクって表現はどうかというツッコミもあるかもしれないが、衣裳デザインだのなんだのを見ていると明らかにかくし芸の帝王堺正章が主演した日テレ版を意識していることが伺える。
 で
 第一回を見た限りでは今回の“リメイク版”はいろんな意味で日テレ版を凌駕しているように感じた。

 例えばキャスティング。
 香取慎吾の孫悟空はまさに適役。吠えているときの横顔なんざぁ猿の野生さえ感じさせる秀逸な出来だ。
 内村光良の沙悟浄はルパンと次元と五右衛門を足して2で割ったような(3ぢゃねーのかよ(笑))キャラが立っているし、和製ジャッキー・チェンとして?のアクションも今後の展開では期待できそうだ。
 伊藤淳史の猪八戒は西田敏行のような貫禄こそないが、「電車男」をそのままコピペしたようなキャラが逆に功を奏し平成版のオリジナリティを出している。

 不満な点はといえば、例えば今回のゲストの木村拓哉。登場の瞬間は「お、豪華…」って思ったけど、あのいかにもドーラン塗ってますみたいな質感のギャル男メイクはいただけない。妖艶なイメージはなく、むしろホストのコントを思い出してしまう…って、これって狙ってる?
 あとキント雲をサーフボードっぽくしたのはSFアニメ的常道で今風でいいのだけれど(エウレカセブン?)、やはり雲っぽさは残して欲しかった。最初はフワフワしててスピードを上げると板っぽいフォルムがきわだってくるみたいなパーティクルでプラスティックな表現だったら完璧だったのに。

 そうした細かい不満はあるものの撮影技術や小道具、セットといったものの出来も日テレ版とは較べ物にならないくらい進歩している。日テレ版がロケを富士の麓の自衛隊演習場で済ませていたのに対して今回のは豪州などの海外ロケも敢行しているというから、進歩というより単純に金をかけているのかもしれない。

 はっきり言って最近某局でやっている日テレ版の再放送をチラっと見たが、今見ると正直ちゃっちいなぁとか思ってしまう。

でも、でも、…である。

 やっぱり今回の21世紀バージョンには決定的な何かが欠けている気がする。そのために日テレ版にはあったワクワク感がないのだ。
 それは

 音楽だ。

 日テレ版の劇伴はいわずとしれた日本ロック&歌謡界の金字塔、ゴダイゴ。今思えば彼らのサントラの存在は大きかった。今回の平成版「西遊記」を見てますますそう感じてしまった。
 今回、主題歌の『Around The World』を歌っているのはMONKEY MAJIKという仙台発のインディーズバンド。外人2人+日本人2人というDef Tech×2みたいな構成だ(笑)。
 名前がMONKEY MAJIKだから起用したんだろうか?彼らの存在を知らないでエンドロール見た人はこの番組のための即席ユニット?とか思ってしまうんぢゃないだろうか。
 ある意味、一番担当してはいけない人たちが起用されてしまった気がする。この1月にめでたくメジャーデビューを果たし、今回の『Around The World』はメジャー2枚目だというからけっこう大事な時期なのにね。

 まぁ、名前はどうあれ、インパクトがあればいいんだけどこれはどうなんだろう?人それぞれ好みはあるんだろうけど、私のように日テレ版と比較してしまうというのも、これまた仕方のないこと。
 日テレ版がヒットしたという英国では去年DVDセットが発売されたというから、海外でも放映予定という今作は旧作の存在は無視できまい。あのスターウォーズでダース・モール卿を演じたアクション俳優でスタントマンでもあるレイ・パークは、中村俊輔でお馴染みのグラスゴーの出身だが、彼も幼少時代は「西遊記」の大ファンで堺正章の棒術に魅せられていたという。

 まぁ、リバイバルブームにのって勢いづくなんてこともあるかもしれないし、MONKEY MAJIKにしてもメジャーデビュー直後のいい景気づけにならないということもないかもしれないからなんともいえないけどね。
 MONKEY MAJIKがそこそこ売れてドラマのほうはキャスティングの力でそこそこの数字を作ったとしたら“”って評価になっちゃうんだろうか?

 日テレ版のほうの「西遊記」のサントラ「Magic Monkey」は1枚のロックアルバムとしても秀逸な出来だった。毎回番組のオープニングで孫悟空の生い立ちを説明する下りで使われてた「Birth of the Odyssey」は今きいても充分インパクトがある。
 当時の技術の粋を集めたシンセサイザーサウンドとはいえ、システムの中核となったMC-8などは、たかだか8チャンネルのデジタルシーケンサー(当時1台120万円也!)で、今となっては5万円のパソコンにも劣るデータ処理能力だ。それでも音楽作品そのものは今でも充分に聞ける存在感なのだ。「We're heading out west to india」なんてトリップしまっせ旦那。「Thank you baby」なんて泣けまっせ奥さん。

 多分、今は1800円くらいの廉価版となっているから即CD屋に走ろう!。
 完全4度の和声はきわめて中国的、ローランド・パラフォニック505の響きは宇宙的。それらが織りなすサウンドは結果として無国籍、まさに彼らが標榜した「宇宙の民族音楽」そのものであった。
 シンセによる(時には生弦)完全4度のポルタメントは、あのヒッチコック映画におけるバーナード・ハーマンの減5度連打にも匹敵するくらいのアドレナリン分泌効果があった…とあえて言ってしまおう。

 まぁ、またGodiegoに伴奏を頼むってのはありえなーい…にしても、他に手はあったんぢゃないだろうか?

 例えば中国人アーティストを使うとかね。一見ベタなアイディアかもしれないけど中国人アーテイストという発想は70年代には恐らくあり得なかったものだろうから実はきわめて21世紀的だといえる。
 その手の発想だと韓流ブームに乗るってのもありかもしれないけど、それだと中国人が芸者を演じるハリウッド映画みたいなことになっちゃうからね(笑)
 中国人アーティストだったらAminなんかどうだろう。あの烏龍茶のコマーシャル・ソングの人ね。彼女にYMOの「東風」をカバーさせるんだ。歌詞をかえて「西風」とかしちゃっうってのはどうだろう?
 BGMのほうはウー・ルーチンで、サントラ・アルバムにはAminの姉のウェイ・ウェイ・ウー女子十に楽坊なんかもゲスト出演してもう豪華絢爛ドッカンドッカン、正にサントラ界の満漢全席…みたいな(笑)

 日テレ版みたいにめでたく2シーズン目にいけたら是非それでお願いします(笑)





ところで…

 当時ゴダイゴのほぼ全曲の作詞を担当していた奈良橋陽子氏は前出の中国人が芸者を演じる珍奇なハリウッド映画「ラストサムライ」などのキャスティングディレクターなどで今もバリバリと活躍なされている。
 彼女の英語文化のバックグラウンドは幼少のころに過ごしたカナダにある。カナダといえばMONKEY MAJIKの外人勢の祖国でもある。めぐるめぐる因果はめぐる?
 そういえばゴダイゴがブイブイ言わせてた当時、奈良橋奈良林と間違えるヤツがいて
「おい、それは「How to SEX」だろ、…っていうかそんなのを混同するってことはさては読んでやがるな?」
 という会話がなされていたことを思い出す人は今となっては少ない。
レトロなシモネタでした…。


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