第89回東京箱根間往復大学駅伝競走
輝きを放った選手の陰で、サポート役に徹した裏方がいる。
チームの途中棄権で記録は残らないにもかかわらず、意地の走りをみせた選手もいた。
普段は注目されない箱根駅伝のもう一つの物語――。「アナザー・ストーリー」を紹介する。
◎裏方に徹した主将…東洋大・斎藤貴志(4年)故郷で消防士に
前回の10区で区間賞を獲得し、総合優勝のゴールテープを切った。
今回の大会ポスターやプログラムの表紙を、そのゴールシーンの写真が飾った。
ところが、長距離部門の主将でもあった斎藤は今大会、16人のエントリーメンバーから外れた。
故障もあって苦しんだシーズンだった。
それでも、昨年11月の記録会で1万メートルの自己ベストを更新するなど調子を上げてきていた。
「正直、メンバーから漏れたときは悔しかった」。まずとった行動は、ある先輩への電話だった。
自分と同じ宮城・仙台育英高出身で、2009年度の東洋大主将だった釜石慶太さんも、4年時にエントリーメンバーから外れている。
「大会までの日々で、主将として出来ることがあれば教えてください」。
現在は仙台育英高女子監督の釜石さんは「特別なことは何もしなくていい。変に頑張っているような姿を見せると、選手に余計なプレッシャーを与えてしまうから」と助言してくれた。
それからは普段通りの生活を過ごし、さりげなくサポート役に徹してきた。
2日の往路では5区で給水係を担当。3日の復路では沿道で応援した後、東京・大手町のゴールでアンカーの冨岡司(4年)を待った。
願いはかなわず、連覇はならなかった。2位でゴールした冨岡を両手で受け止めると、斎藤は涙をぬぐった。
競技生活で、歓喜と屈辱を味わった。
卒業後は実家のある山形県に戻って消防士になる。陸上競技は市民ランナーとして続けるつもりだ。
「普通に大学生活を送っていては味わえない体験をさせてもらった。この経験を社会人になっても生かしていきたい」。
東洋大で心と体を鍛えた22歳は、涙が乾いた後、きっぱりと言いきった。
(読売オンラインより 田上幸広氏の記事です)
輝きを放った選手の陰で、サポート役に徹した裏方がいる。
チームの途中棄権で記録は残らないにもかかわらず、意地の走りをみせた選手もいた。
普段は注目されない箱根駅伝のもう一つの物語――。「アナザー・ストーリー」を紹介する。
◎裏方に徹した主将…東洋大・斎藤貴志(4年)故郷で消防士に
前回の10区で区間賞を獲得し、総合優勝のゴールテープを切った。
今回の大会ポスターやプログラムの表紙を、そのゴールシーンの写真が飾った。
ところが、長距離部門の主将でもあった斎藤は今大会、16人のエントリーメンバーから外れた。
故障もあって苦しんだシーズンだった。
それでも、昨年11月の記録会で1万メートルの自己ベストを更新するなど調子を上げてきていた。
「正直、メンバーから漏れたときは悔しかった」。まずとった行動は、ある先輩への電話だった。
自分と同じ宮城・仙台育英高出身で、2009年度の東洋大主将だった釜石慶太さんも、4年時にエントリーメンバーから外れている。
「大会までの日々で、主将として出来ることがあれば教えてください」。
現在は仙台育英高女子監督の釜石さんは「特別なことは何もしなくていい。変に頑張っているような姿を見せると、選手に余計なプレッシャーを与えてしまうから」と助言してくれた。
それからは普段通りの生活を過ごし、さりげなくサポート役に徹してきた。
2日の往路では5区で給水係を担当。3日の復路では沿道で応援した後、東京・大手町のゴールでアンカーの冨岡司(4年)を待った。
願いはかなわず、連覇はならなかった。2位でゴールした冨岡を両手で受け止めると、斎藤は涙をぬぐった。
競技生活で、歓喜と屈辱を味わった。
卒業後は実家のある山形県に戻って消防士になる。陸上競技は市民ランナーとして続けるつもりだ。
「普通に大学生活を送っていては味わえない体験をさせてもらった。この経験を社会人になっても生かしていきたい」。
東洋大で心と体を鍛えた22歳は、涙が乾いた後、きっぱりと言いきった。
(読売オンラインより 田上幸広氏の記事です)