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SWAN日記 ~杜の小径~

間の楔SS ◆◆ある日の二人〜キャルの独り言〜◆◆

💐 💐 💐
 
注:《間の楔》二次創作SSです。
イアソン×リキ。
エオスでのある一日、キャル目線のお話です。
 
*少し改訂しました/2024.12.01
 
💐 💐 💐
 
《間の楔》二次創作SS
◆◆ある日の二人〜キャルの独り言〜◆◆
 
今夜は久々にイアソン様とリキ様がエオスにいらっしゃっている。
今はアパティアにいるリキ様が此処エオスに来るのは久々だ。
新規ペットの披露目パーティーに出る為らしい。いつもイアソン様は不参加なのだけれど、たまには顔を出さないとオルフェ様が煩いらしい‥とリキ様は言っていた。
披露目パーティーか交尾パーティー、どちらかに顔を出せと二択で言われてイアソン様は前者にしたのだそう。
「とりあえずイアソンの足元で大人しくしてりゃ時間は経つからさ」
リキ様は愚痴を溢してらしたけれど。
イアソン様はリキ様を交尾パーティーには決してお出しにならない。
リキ様もイアソン様のお立場を考えていらっしゃるのが判る。
アパティアにリキ様の居住をかえてからのお二人の雰囲気が変わった。
例えるなら、纏う空気が柔らかくなったというのか‥そんな感じだ。
 
僕がイアソン様の元に配属になった時、ペットはいなかった。
ファニチャー仲間からリキ様の話は聞いていたけれど‥‥暫くしてリキ様がペットとしてエオスに出戻るときいて驚愕した。
リキ様にエオスの常識は通用しない。
他のペット達と違って頭も良い。
ファニチャーである僕もリキ様との距離や接し方が解らず、毎日が緊張の日々だった。
ーーーでも。
イアソン様とリキ様が別館の植物園に夜香花‥三年に一度、夜に数時間だけ咲くという花を観に行ったあの夜。
エオスに帰ったイアソン様とリキ様をみてーーーーリキ様への見方も接し方も変わってきた。
何故あんなことになったのか僕には解らなかったけれど、ひたすらにイアソン様を求めるリキ様と、そんなリキ様に応えるイアソン様。
こんなリキ様は知らない。
こんなイアソン様も知らない。
それなのに。
お二人を繋ぐ深い何かを感じたあの夜。
リキ様も以前より気さくになった気がする。
要は心の持ちよう。
僕もリキ様と一緒にいる空間が緊張だらけだった頃とは違い、少し気持ちが楽になったのだ。
今日はリキ様がエオスにいらっしゃると聞いて、サッパリしたものを好むリキ様のお好きな食材で夕食の準備をした。
 
「お前が来ると伝えてキャルも楽しみにしていたようだ。夕食はエオスで済ませてほしいと言っていたな」
「久しぶりにキャルにも会えたけど‥さ。また夕食メニュー張り切っちまってるのかな。
〜なら、今日は俺コッチに泊まりかよ?」
「あぁ。明日の午後、アパティアに送ってやる」
「‥わかった」
やっぱそうなるか‥とリキは頷いた。
 
夜。
キャルが気合いを入れて用意した夕食を二人で食べ、そのままリキ様はイアソン様に寝室に連れて行かれてしまった。
キャルは食器の後片付けを済ませて奥の部屋に籠る。
数刻はお二人共寝室から出てこられないだろう。
 
数刻後。
明日のリキ様の朝食の下ごしらえをしておこうとキッチンに向かう。
もしかしたら夜食を摂られるかもしれないし。
ん?とキャルは首を傾げて見回すと、寝室のドアが少し空いていた。
 
「‥ったく!テメェは絶倫だし変態だし!」
「その絶倫な変態の手管に落ちているのは誰だ」
「あんたの所為だろ!」
「これは褒められているのか?光栄だな」
「誰も褒めて無えよ!」
「お前が淫乱なのが悪い。自覚しろ」
「だから誰の所為だっての!」
「私が調教した成果か?」
「イアソンの馬鹿野郎‥っ!」
今日もブロンディーとペットらしからぬ言葉使いと罵声が飛び交っていた。
「‥まだ足りないのだな」
イアソンは再びリキをベッドに組み敷いた。
「そんなこと言って無え‥っ、あ‥っ」
言葉に反して慣らされた身体は手管に落ちるのも早い。
「身体は素直だな」
「う‥るせ‥っ、も‥無理だっ、離し‥‥っ」
しばらくしてまたリキの嗚咽と嬌声が寝室に響く。
それをキャルは黙って聞いていた。
いや、キッチンで静かに作業していても聞こえてきてしまう二人の会話。
イアソン様も絶倫とか変態とか言われても否定しないし。
リキ様も淫乱と言われても其処は否定しない。
お二人とも気づいているのかな。
イアソン様は言葉遊び‥?
リキ様は売り言葉に買い言葉のような‥?
終いにはペットであるリキ様がブロンディーのイアソン様に対して呼び捨てのうえ「テメェ・あんた・馬鹿野郎」発言。
普通、エリートとペットでは有り得ない会話だけれど、このお二人は特別なのだ。
きっと、そんなリキ様をイアソン様は好きなのだろう。
きっと、こんなイアソン様をリキ様も好きなのだろう。
従順なリキ様なんて想像するのは難しい。
‥難しいんじゃなくて、かえって恐いかも。
冷酷に見えるイアソン様はリキ様の前でだけ優しい表情をされるのを僕は知ってる。
他のファニチャー仲間は「大変そうだね」なんて言うけど、全然そんなことは無い。
リキ様はご自分のことは出来る限りやってくださるし、ファニチャーに理不尽な我儘もぶつけてこない。
朝なかなかベッドから起きあがれないリキ様を無理に起こすことなくイアソン様は部屋を後にする。
「キャル、リキを頼む」
この言葉も嬉しく思う。
イアソン様にとってリキ様は特別なのだ。
古株のファニチャー仲間から聞いたことがある。
以前のイアソン様は決まり事であるからペットを置いてるだけのようで、差して興味も執着もないように周囲の目には映っていたのだと。
エリートであるブロンディーがペットを直接抱くなんて有り得ないと誰もが口を揃えて言うけれど‥‥イアソン様とリキ様だから。
このお二人だから特別。
そろそろリキ様が起きられる頃だ。
イアソン様と朝方までベッドにいた夜はリキ様が目覚めるのも遅い。
朝方お二人でシャワーを浴びたようだ。
あと数刻で昼になる。
ブランチになってしまうけれど、食べ易い食事を用意しよう。
ある程度は昨夜のうちに準備してある。
野菜を煮込んだスープと、パンは何にしよう?
果物も用意して。あぁ、寝起きに珈琲を召し上がるかもしれないとキャルは珈琲豆を挽き始めた。
しばらくすると珈琲の香りに誘われたのかリキが起きてきた。
「おはようございます、リキ様」
「‥おはよ」
「お食事前に珈琲を召し上がられますか?」
「‥ん。今朝は甘めのが飲みたいかも」
「カフェオレにしましょうか?」
「うん。ありがと」
「直ぐにお持ちしますね」
リキの言葉にキャルも微笑む。
やっぱりリキ様も他のエリート達のペットとは違うのだ。部屋付きファニチャーを人としてみてくれ接してくれている。
キャルはリキ専用のマグカップに温かいカフェオレを入れ、テーブルに持って来た。
「お待たせしましたリキ様」
「サンキュ」
キャルは微笑んで頷くと、リキの食事の用意をするべくキッチンに入った。
リキ様がお食事中にベッドメイキングを済ませて‥と、またシャワーを浴びられるかな?
エオスはあまりお好きでは無いらしいリキ様だけど、このイアソン様のお部屋では少しでも心地よく過ごし易い場であってほしいと願うキャルなのだった。
 
 
◆終わり◆
 
 
〜お読みいただき有難うごさいました。
SWAN/白鳥いろは
 
 
💐 💐 💐
 
〜白鳥のひとりごとデス。
 
ダナ・バーン崩壊後(捏造してマス。生きてマス)の二人の物語を妄想してスローペースながら少しずつ部分的に書き溜め始めてるのですが‥プロットまとめ出したら何だか長くなりそうなので(汗)
ダナ・バーン以前の物語もちょこちょこ思いついて書いているので、とりあえず小出しにして短編でUPしていくかも?です(やっと2話目UPですけど‥泣)
いずれ時系列に再UPとかしたほうが良いかな。
後にR18の文章書き足して、オフラインの紙媒体で纏められると良いな〜‥なんて夢のまた夢かしら(笑)
でも表紙のデザインは考案済だったりします(気が早すぎる‥呆)
友人にはPixivどう?と勧められたけど、ん〜‥どうなるかなぁ(悩)
 
‥先月、なぜ急に楔熱が一時的に再燃したのだろうかと考えてみて。
ベルばらにジャンル変更して約10年‥BL読んで無いし書いてなかったから禁断症状?
〜とSさんに言ったら、
入稿前の原稿終わらなくて他に目が逸れちゃう現実逃避アルアル?
〜と返ってきました(笑)
‥たぶん両方なんだろうなぁ。゚(゚´Д`゚)゚。
今になって楔プチ再燃しちゃうなんてと思うけど、JUNE連載当時やカセットJUNE、ハードカバー本が出て楔ジャンルでサークル活動してた頃には思いつかなかった妄想やネタが脳内に湧いてくるんですよね〜‥今は文章書いてるけど昔は絵を描いてたから、その違いもあるのかな。
確か最初に出した楔同人誌は1989年冬コミ。
‥って35年も前だよ(遠い目)
1989年ってフランス革命から200年後の年だったし、白鳥も色々思い出ある年でした。
 
ベルばらSSも書きたいネタたくさんあるし‥妄想したストーリーをパパッと自動変換出来たら良いのになぁ‥‥と、たまに思います(笑)
 
💐 💐 💐
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