ホント、ドラマか映画になってもおかしくないほどで、僕なんか触発されて、勝手にストーリーを考えてしまいました。
こんなあらすじの冒険ドラマはいかがでしょうか。
(あとで読み返したら、どこにでもありそうな陳腐なお話でした。長いだけでつまらない、とか、時間を無駄にした、とかいうご批判には、聞こえない作戦であります。)
絶海の姉妹(ふたり)
倉下玲奈は、ある大企業の社長を父に持つ令嬢で、母親と姉・ともえとの4人暮らし。玲奈の実の母親はすでに他界しており、今の母親は後妻で姉はその連れ子である。今でも実の母親を慕う玲奈は、今の母親とはうまくいっておらず、ことあるごとに反発していた。姉のともえは家族思いのしっかり者だが、玲奈は甘やかされて育ったせいか、わがままな性格だった。
ある夏の日、一家は父親の所有する大型ヨットで外洋をクルージング中、小魚を獲るクジラの群れに遭遇する。1頭のクジラが運悪く船体に接触し、4人は海に投げ出される。気が付くと、玲奈は姉のともえと共に無人島に流れ着いていた。
水も食料もなく、過酷な生活を余儀なくされる2人。以前にも遭難した者がいたらしく、浜辺で粗末な小屋を発見するが、主はすでに死んでいた。ともえは食べ物を求めて密林に入るが、玲奈は服が汚れたり日に焼けたりするのを嫌がり、小屋から出ようとしない。ともえはもともと地方出身のためか、器用にカニや小エビ、木の実を採ってきては、小屋に残された燃料や器具を使って調理を試みる。しかし、裕福な生活に慣れた玲奈は、もっと美味しいものが食べたい、とわがままを言って口にしようとはせず、姉を困らせる。
その後、空腹に耐えかねて少しずつは姉の「料理」を口にするようになっていたが、それでも玲奈は自分の置かれた状況を受け入れられないでいた。
ある夜、玲奈がふと目を覚ますと姉の姿がない。ともえは、妹の玲奈に美味しいものを食べさせたい、と夜の海に出かけ、魚や貝を採ろうとしていたのだ。しかし、わずかな月明かりの下、手作りの粗末なモリではなかなかうまくいかない。明け方近くになって玲奈が目にしたのは、疲れ切り、全身に傷を負いながらも、大きなブダイが2匹入った網を手にしたともえの姿だった。「昼間はすばしっこくて捕まらないのよ。」と笑うともえ。自分の為にこんなになりながらも新鮮な魚を採ってきてくれた姉。その時、玲奈の心の中で何かが変わった。
その日以来、玲奈は少しずつ協力して食料を採るようになる。以前は怖がって手を出せなかったカニや小魚も今では果敢に捕まえていた。しかし、玲奈はヨットの事故で溺れかけた時の恐怖がトラウマになり、海に入ることはできない。
数日後、無理がたたって、ともえが体調を崩し寝込んでしまう。小さなカニやエビでは栄養が付かない、と姉の身を案じた玲奈は、夜中にこっそりと小屋を抜け出す。海への恐怖と闘いながら、海中でモリを突く玲奈。姉のためにも大きな魚を採るまでは帰らない、と心に決めていた。
明け方、1匹のブダイを手にした玲奈が返ってくる。小屋の中では、姿を消した玲奈を心配して眠れない夜を過ごした姉が待っていた。
「海に出ていたの?」
「お姉さんに美味しいものを食べてもらいたくて。あの時の恩返しよ」
「なにもこんな時間に」
「夜の方が採りやすいって教えてくれたのはお姉さんじゃない」と笑う玲奈。
ともえは思わず玲奈の冷え切った体を抱きしめるのだった。
初めて生きた魚をさばく玲奈。今までは調理され、皿に盛られて出てくる料理しか食べたことのなかった彼女だが、人間はこうやってほかの大切な命をいただいて生かされているのだ、と今更ながら気付かされるのであった。
遭難から1か月経とうとするある夜、絶望しかかって海を眺める2人は、はるか沖にゆっくり移動する小さな光を見つける。声は届くはずもなく、2人は自分たちの居場所を知らせるために決死の思いで自ら小屋に火を放った。沖の光がスピードを速めて近づいて来る。すでに海上保安庁の捜索は中止されていたが、事故から助かった父親は娘たちの生存を信じ、私財を投げ打って人を雇い、昼夜を分かたず探し続けていたのだった。
1か月ぶりに救助され、病院に収容される2人。ベッドの横で玲奈の手を握り心配そうに見つめるのは母親だった。彼女も無事だったのだ。
「玲奈…」
「ただいま、お母さん」
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