「ホットロード」を観てきた。
チケットカウンターで、「ホットロード、大人一枚」と言うのも
ちょっと恥ずかしいので、
劇場のホームページから事前に、
後ろの方の、一番端っこの席を買っておいた。
ここなら、おじさんが1人で泣いていても気付かれにくいはずだ。
左右の胸ポケットに1枚ずつハンカチを忍ばせて席に着く。
後ろの方に座ったおかげで、お客さんの入り具合がよく分かる。
夏休みも終わった平日の昼間なので、目論み通りかなりすいているが、
女子率が高いのは、事前の評判通り。
その中でも、僕よりも年配の男性が、
あちこちに一人で座っている姿が見られ、なんだか妙な親近感が湧く。
映画は、始まった。
乱闘シーンや、暴走シーンはかなり控えた描写になっている。
むしろ、日常の会話や心の機微を淡々と描くことで、
映画という作り物の世界を忘れさせ、
リアルさが増し、心の奥に染みてくる。
これだ! と思った。
確かに、
バラエティ番組に出ている、笑顔の能年さんや、ちょっと困り顔の能年さんもいいが、
僕が本当に見たかったのは、
役柄に没入し、演じきっている、
女優・能年玲奈なんだ。
「脱あまちゃん」に成功したとかしないとか、
そういう次元は、もう超えている。
大切にしていたチューリップの思い出が、崩れてしまうシーンには心が痛んだ。
食事が摂れず、意識がもうろうとする中で春山を追い求める姿は、
今思い出しても涙がこぼれる。
上映中にすすり泣く声が聞こえる、と言う話は、
本当だった。
まあ、僕もその中の1人なんだが。
1枚目のハンカチは、涙を拭いた部分と鼻水を拭いた部分の区別がわからなくなり、
丸めてカバンに入れた。
やはり、2枚持って行って正解だった。
もちろん、非の打ち所が無い完璧な映画という訳ではないだろう。
あくまで個人的な感想だが、
必死で自転車に乗ろうとする春山を、
子供が3輪車で追い越していくシーンは、コミカルすぎないか。
ママが和希を病院へ誘うシーンは、春山の訃報が届いたのかと、
勘違いさせないか。
僕は原作を読んでいないので、
これらが原作通りに描かれた場面だったら申し訳ない。
あまり言うと敵を作るかもしれないし、
もう一度観れば、感想も変わってくるかもしれない。
という訳で、
この映画は、2度3度と観たくなる、
僕にとってはまれな映画なのでありました。
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