(Audibleとは、プロのナレーターや俳優よって吹き込まれた音声を聞くことで読書を楽しむことができる、いわば「聴く読書」です。)
声優やナレーターとしてもすでに定評のあるのんさんですが、Audibleでの朗読は初めてということで、さっそく僕も聴いてみることにしました。
10歳の少女・章子の元に、「私は20年後のあなた、30歳の章子です。」と書かれた手紙が届くところから物語は始まります。
ここだけ聴くと、「ちょっとSFっぽいな」、「ファンタジーかな」と思ってしまいます。
しかし、そのテーマはこれ以上ないと思うほど辛く、重たいものでした。
暗闇の中をもがくような物語を、のんさんは多くの部分をあえて感情を抑えて読み進めます。
当然、登場人物全員の声を一人で担当する訳ですが、テレビの吹替のようにことさら声色を変えるのではなく、そのトーンや抑揚のわずかな変化でメリハリをつけ、見事に演じ分けています。
誰のセリフにどんな感情が隠されているかが、とても分かりやすいのです。僕が本を読む時は、どうしても1本調子に文字を目で追うだけになりがちなので、こうはいきません。
のんさんは自身のラジオ番組で、「伏線や予感をあおる場面が膨大にあって、こと細かに演出しないと成立しないので、収録が終わった後はエネルギーを全部持っていかれて抜け殻のようになった」と語っています。
(のんさんのラジオ番組に湊かなえ先生が出演した時に)
この作品を最後まで聴くと、その言葉が決して大げさではないことが分かります。
この作品のレビューを見たら、ナレーションの評価が5点満中の5点でした。試しにほかの作品の評価もいくつか見ましたが、満点をたたき出している作品は、プロのナレーターでもそうはありませんでした。
出来るだけ多くの皆さんに、この作品が届いてほしいのですが、ただ、ちょっとハードルが高いのは、一冊の本を端から端まで読むので再生時間が長いということ。この「未来」は 14 時間 34 分もあります。
あと、さっきも書いたようにテーマが非常に重いので、聴いていてとても辛くなること。
でも、最後まで聴いてよかったと思います。
その訳は、のんさんの魂のこもった語り口が途中で投げ出すことを許さなかったから。
そして、暗闇の先の“未来”に、一筋の光が見いだせたから。
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