19年目の神戸より

3歳の長男をベッドの中で抱きしめて布団を被っていた。

部屋の中はグシャグシャ。
台所は前の日にオカンとこからもらってきた鍋いっぱいのヒジキの煮付けが散乱。

きな臭いニオイ、赤く焼けた空、しかしサイレンは聞こえない。
水と食糧を確保するのに必死。
火事に怯え靴を履いて眠っていた。

そんな父親と母親を癒してくれたのは子供達の笑顔だった。



そんな彼等も上が今年就職、下が成人式。
まだたかだか19年前の出来事なのだ。そしてもう19年も前の出来事なのだ。