ウルガの夜

昨日は岡山で歌ってきました。

お城に近いシンフォニーホールの向かいにある有名な天神そばというラーメン屋さんの隣の「ウルガ」という小さなバー。



店主とはもう20年くらいお付き合いさせてもらってる。僕はその間に随分と老けてしまったが、店主は相変わらずキュートだ。彼女の前では、時々トロけてしまいそうになる事がある。

一階はL字型のカウンター。
二階は十五人ほどで満杯のちょっとしたスペースがある。もちろん生音での演奏なのだが、床と天井が実に心地良く響いて僕の音楽の手助けをしてくれる。

お店の名前の由来はモンゴルを舞台にした映画のタイトルだそうだ。10周年の頃に内緒で記念日に遊びに行ってウルガの夜という唄をプレゼントさせてもらった。

帯広でいつもお世話になっていたお店が今月の28日で閉店すると聞いた。

20年はなかなかの年月。
うかうかしてはいられない。

ウルガの夜 秋本節

小さな扉を開けると
淡雪のような笑顔が
氷のように固まりかけた
からだを溶かす

いにしえからの琥珀の雫
旬の食材に呪文をかける
舌もとろけ
胃袋さえも
快楽の吐息をはく

踵の自由を奪い取る
モンゴルの魔法の杖
ブラスのハンドルに手をかける
今宵もまた


壁に描かれた鳥たちさえも
羽ばたき飛び立つ
秋の空へと
旅立って行った友も今夜
祝福に立ち寄る

疲れた男と女の
溜め息と引き換えに
明日の力を飲み干そう
今宵もまた

Tu-rururu-Ru-rururu
Tu-ru ra……

今宵もまた今宵も
ウルガの夜よ