京の一枚

京都 紅葉100シリーズ寺社 平家物語の祇王寺 NO.43


京の都を囲む山並みはひと朝ごとに彩りを増し、やがて深山の古刹、裾野の大寺を錦に染め上げます。


四季の風情がそれぞれに美しい京都ですが、やはり紅葉の古都は格別です。


美しい竹林と小倉山の裾野に並ぶモミジの寺院。


秋になれば多くの参拝客で賑わう嵯峨野ですが、かつては世捨て人たちの隠遁の地でした。


祇王寺もまた、平家物語に登場する4人の女性が、人の世のはかなさを悲しみ、念仏を唱える日々を送った場所。


平清盛の寵愛を一身に受けた白拍子・祇王の悲しい物語を今に伝えています。


若い白拍子・仏御前の舞を見てたちまち心を奪われた清盛によって、それまで寵愛を受けていた祇王は屋敷を追い出された上に耐え難い仕打ちも受けます。


祇王は母・妹とともに出家し、ここに庵を結びました。


時に祇王21歳。


後、祇王の出家を聞いた仏御前も17歳にしてこの世の無常を感じ、出家。


この庵を訪ね、祇王らとひたすら浄土を願う余生を送ったといいます。


天を覆う楓が晩秋の風に紅葉を散らす、静寂の苔庭。


若くして現世への煩悩を断った美貌の女性たちは、この庭をどんな思いで眺めたのでしょうか。




 
紅葉の話


奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の~、百人一首で有名な猿丸大夫の歌にもあるように、紅葉は華やかな中にもどこかもの悲しい雰囲気が漂います。


春の桜もはかないものですが、花が散った後は新緑のシーズン。


田植えも始まり、野山に生命力が満ちあふれる春と、その後に長い冬を控える秋はやはり異なります。


最近はライトアップが人気で、華やかさを増すばかりの京都の紅葉ですが、日々移ろいゆく自然に美を見つけ、「もののあはれ」に感じ入った日本人の感性も忘れたくないもの。


縁側に座って紅葉の庭を前にしたとき、目に飛び込んでくる色彩の美しさだけでなく、黄昏の季節に無常の世を重ね、またその風情を愛した古の人々の心象風景も眺めてください。


 
萌え出づるも枯るるも同じ野辺の草 いづれか秋に逢はで果つべき平清盛の寵愛を失った白拍子・祇王が清盛の元を去る際、障子に書き残していったという歌。


仏御前はこの歌を聞いて、自分の立場もまた常ならぬものと悟り、出家への思いを募らせたといいます。






■アクセス


JR京都駅より


京都バス72系統「護法堂弁天前」下車徒歩10分


※シーズン中の休日などはバス利用は避けた方が無難。




■JR嵯峨野線「嵯峨嵐山駅」から嵯峨野めぐりを楽しみながら歩くか、レンタサイクルで。



























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