燈子の部屋

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キレる母

2001-04-17 00:00:01 | 母の病気のこと(完)
病棟に着くと、母の機嫌はよさそうだった。
外出するのでお化粧をしている。
だが、出かける前に担当医師との面談があった。
私からは特に何もなかったが、母の話では、医師から何かあるような口ぶりだったので、
少し緊張して診察室に入った。
すると医師は、「私のほうからは特にこれといってお話することはないんですけどね…」。
あれ?

どうやら母は私と医師とでお話をしてもらいたかったらしい。
近頃の病状や今後の退院計画などについて話し合ったが、
医師も私も退院はまだ無理ということで意見の一致をみた。
先月の見舞いで私が気づいたことに、医師もやはり気づいていたのだ。
一時期、母の具合はかなりよくなっていて、
これなら独居も大丈夫かもしれないと思ったのだが、この頃また例の妄想が出ているのだ。
病院だというのにまだ天井裏に侵入者がいると言い張るらしい。
しかし、そればかりではなかった。

母がキレるらしいのだ。
母は高血圧気味なので減塩食メニューなのだが、
あるとき、「こんなマズい物が食べられるかっ!」みたいなことを怒鳴り、
テーブルを叩いたというのである。
母の剣幕は想像がつくけれど、
料理を目の前にしてテーブルを叩くという粗暴な行動は私には思いがけないことだった。

そういえば、先月、衣替えに久しぶりに母とアパートに立ち寄ったとき、
出掛けに廊下をスリッパの縁でバキッと叩いたことがあった。
階下の住人への意思表示である。
さらに外階段をどすんどすんと音高く降りて行った。
これ以上、母が何かしたらどうしようかと思ったが、
アパートを離れると次第に落ち着いたので安心した。
結局、母はまだ閉鎖病棟にいるしかない。
急性患者用のフロアから慢性患者用のフロアに移ったのは早かったが、
そこから開放病棟へ移るまでにはさらに長い時間が必要のようだ。


(次を読む)


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