燈子の部屋

さまざまなことをシリアスかつコミカルかつエッセイ風に(?)綴る独り言的日記サイトです

もしや、彼女も?

2001-04-17 00:00:02 | 母の病気のこと(完)
面談を終えて母と外科へ向かった。
そんな話の後なので、母の機嫌が危ぶまれたが、まずまずのようで一安心。
先にお昼をとることにしたが、せっかく医師が外出時くらいは減塩食でなく
普通の食事で構わないと言ってくれたというのに(言われなくてもそうしたが)、
母の食べたい物は先月ドトールで食べた菓子パンだった。
私はもっとちゃんとした定食とかにしたかったのだが、食べたいのなら仕方がない。
それに私は食欲がなかった。

葉桜の下を歩いて駅前にあるドトールに入る。
母はフレッシュ・オレンジジュースと菓子パン2個、
私は本日のコーヒー(キリマンジャロ)と小さなスポンジケーキ2個にした。
私はコーヒーだけでよかったのだが、一応何か食べないと母が気にすると思ったのだ。
それでも1個しか食べられなかったが。

席に着いて話しながら食べていると、
突然、テーブルをドンと叩く音と跳ね上がったコーヒーカップの音がが店内に響いた。
驚いて音のしたほうを見ると、先ほどから話がもつれていたカップルの女性が
右手を拳骨にしたまま、相手の男性を睨みつけていた。

店内は一瞬にして固まった。
私も別の意味で固まった。
女性の様子は尋常ではない。
他に多くの客がいる中で手を上げる喧嘩ができるのはどう考えても普通ではない。
私は、その負の感情が母に伝染しないことを祈った。

幸いなことに、母は驚きはしたものの取り乱しはしなかったし、
その女性もそれ以上暴れることはなかった。
だが、彼女の行動がそう珍しいものでなかったことは、
連れの男性がオロオロせずに投げやりな調子で宥めていたことから想像がつく。
そのままではますます深刻になるに違いない。
きちんと彼女のことを何かしてあげているのだろうか。

母が食べ終わると、私は一刻も早くこの場を去りたくて、もう出ようと母に言った。
これから外科に行くというのに、なんだかもうすっかり疲れてしまった。

結局、この日は面談と通院だけで終わりにして、
衣替え第二弾としてアパートへ寄るのは次の土曜日にした。
母をタクシーで病棟へ送り届けてから、物凄い強風の中を総髪逆立て、
赤目になりながら駅へ向かって歩いた。
まるで行軍のようだ。
春の風はもっとそよそよ吹くべし。


(次を読む)


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