まだ、起きている
なんとなく
気づいた
低い唸り
少しづつ、大きくなる
ジェットの音
この町には
近くに、航空路がある
空港の街の隣りだから
ジェットの音は
大きくなるけど
そんなでもない
しっかり戸締り
遠く、遮られている
ゆっくりと
遠去かり始めて
でも、あっと言う間
消え果てる、闇
きっと、夜の闇
見えないけど、闇
呑まれて、果てた
ジェットの音
でも、なんでかな
飛行時間、過ぎてるよな
なんか、あったのかな
でも、今日は天気は良い
余程の事がなければ
時間外、離着陸はない
見る事はないけど
コックピット、真夜中
闇に浮かぶ、空港の灯
照明を落としたキャビン
静まりかえった機内
静かに、見回るアテンダント
離陸なら、そのまま
着陸なら、起こすんだろうね
いきなり、忙しくなる
低いざわめき
動き出す乗客たち
機体は、静かに
ジェット音の低く唸り
滑走路に沈み込む
機長のアナウンス
アテンダントの声
人々は、立ち上がり
ざわめきは、湧き上がる
その先には
空港、ターミナル
迎える係員たち
深夜のターミナルは
漂う気怠さ
その先には
様々に行き先があって
様々に、人が行き交い
様々に、人が働く
気怠い、真夜中
真夜中の遅れ便
その気怠さの隅っこ
おまえも、そこにいたな
そんな時もあった
真夜中のリビング
ジェットの音は
とうに、遠く果てた
おまえは、佇み
ただ、想っていた