秋が、始まると
雨が、降る
いのちの盛りの
終わりを告げて
でも、豊かな実りを
ちょっと、皮肉に
前触れするんだ
それは、いのちの
実りとなる、その為の
最後の試練の雨で
その打ち据えられる
長く、冷たい雨の時間を
いのちは、実りとなる為に
ひたすら、耐え忍ぶんだ
やがて、空からは
雲が吹き払われて
抜ける蒼空となり
いのちは、実りと変わる
鮮やかに色づいて
大気は澄み切り
穏やかな日差しは
その色づいた実りを
あまねく輝かせるんだ
ただ、その豊穣の時は
終わりの予兆を
秘めてもいるよ
寂しさを孕んだ
秋祭りも終わると
また、季節は巡る
秋の終わりには
また、雨が降る
その雨は、時雨と呼ばれて
死の冷たさを、秘めた雨だ
降り注いでくる
その凍った雨粒は
まるで、刃のようで
いのちの最期の
その仄かなともしびを
無慈悲に、切り裂き
無残に、打ち散らす
そうして、秋
燃え盛ったいのちを
実りとした
その季節は、巡って
あらゆるいのちが
長い眠りにつく
冬が始まる