前に書いた通り
結構、バスを降りて
危うい運転手さんと
車掌さんから、解放されて
ほっと、ひと息
慣れた街並みを
ぼうっとは、歩いていたと思う
ほっとひと息で
記憶は、切れている
知った街並みは
犯人にとっても、地元
でも、人も多いし
おまえにとっても、地元
根拠は、あやふやだけど
安心したんだろう
いや、或いは
緊張が、切れてしまった
そんな感じかな
とぼとぼと、ふわふわと
歩いて帰ったのだろう
記憶は、飛んでいる
とにかく、家には
辿り着いた
でなければ
その後のおまえはいないしね
帰ってからの
記憶も、定かではない
だから、妄想で書いた
確かに、そうだな
この時点で、おまえは
犯人を、おとなだと
思っていた
事件現場で、そう思って
まだ、修正情報はなかった
追っ手の先生たちも
私服刑事と思っていたはず
だから、ねえさんと
今日起きた話をしても
直ぐには、噛み合わなかった
そうだったと思う
ねえさんたち中学生も
現場に立ち会った生徒と
その噂話だけ
よく説明も受けずに
即、下校になったはず
同級生との噂話だけだよね
だから、犯人が
騒ぎを起こした後
どうなったか、とか
知らなかったと思う
今だったら
各方面、大騒ぎ
だったと思うけどね
昔は、ある意味緩かった
かなり、自己責任社会
多分、本当に
ねえさんの話と
噛み合ったのは
テレビで
犯人逮捕のニュースを
見た時だと思う
中学生が、人質を取って
覚えてないんだから
みんな、妄想だけどね
しかし、あの頃
あの地域は
ずいぶんと柄が悪かった
よくあんなとこで
おまえみたいな情弱が
生き残れたもんだ
首都隣県で、リゾート地
首都の別荘地から、発展
そんな地域では
毛色の違う街だった
すべては、海軍火薬廠
そして、そのまま
戦後は、工業都市
競輪の公営ギャンブル
工場労働者向け歓楽街
海岸地区は、その縮図
政治家の元別荘と
低所得者向け公営住宅が
同居していた
だから、母校の中学校は
卒業生からは
毎年、必ず数人は
T大入学
今では、考えられない学力
囲碁の大師匠もいて
その内弟子で
後の大棋士たちも
同窓、知り合いはいないけど
ただ、それとともに
この街を中心に
初期の超有名巨大暴走族も
生まれてしまった
小学生の時に
一時親しくたガキ大将は
この地方の総番になり
広域はんしゃの幹部になった
もちろん、全く付き合いはない
ただ、かあさんは
おまえのところにも
一時は、遊びに来てくれた
友だちだったから
40代で、交通事故で
亡くなったことと
幹部だった事を教えてくれた
どんな人生を送ったのかな
この友だちちも
あの犯人も
何故、あんな風に
なって行ったのか
知りたいと言う興味はある
一切、お近づきには
なりたくないけどね…