夜
満月に、
浮かび上がる
闇の、
世界
春の月は、
朧ろのはず
でも、
くっきり
天中に、
上り詰めた
闇に浮かび切る、
万物
淡い
でも、くっきりと
影も、くっきりと、
引いているのだろう
影は、
分身に、なるほどに、
きっと、鮮やか
詩人のような作家は、
その分身を、
追ったのだろうか…
影は鮮やかで、
ドッペルゲンガー
分かたれて、
傍観する、
自らの死
でも、
今の自分には、
あの月は、
自らの生命
確かに、
光
満ち満ちては、
いないけど、
静かに、
輝いている
今の、
自分
あの月が、
すべて
影は、
いらない