真夏、夏休みの一日は
朝のラジオ体操
実家の裏手の路地で
始まったんだ
眠い目を、擦って
行くんだけど
と、言っても
家の裏に行くだけ
徒歩一分
裏の奥の、二軒の私道が
並んでいて、境目がないから
子どものラジオ体操に
ちょうど、良い広さだった
でも、自分には
ちっとも、良くない
サボれないからね
兄さんも、姉さんも
行くから、サボらない
と言うより、サボれなかった
ああ、だるいな
あれっ❓
やっぱり、自分は
子どもの頃から
だるかったんだな…
とにかく、ラジオ体操は
地域の班別
自分が末っ子の
我が家の三兄妹と
前の奥の家の
一人息子さん
四人だけの班
何しろ、まだ
家が、すかすか
疎らな、畑地だらけの
新興住宅地だったからね
でも、人数が少な過ぎて
他の班と合同になった
10人位は、いたかな
そんな気がする
話したこともない
お兄さんや、お姉さんたち
あっ、でも
唯一、同級生で
やっぱり、唯一の
幼馴染の女の子が
一緒で、ちょっと
嬉しかったんだけどね
だから、ラジオ体操も
少し、頑張れた
いちにいさんしっ
ごうろくひちはちっ
最初は
手とか、足とか
心臓に、遠いところから
始めるんだよな
それで、前屈、後屈
胴体も、ぐるぐる回して
でも、第一だからね
たいしことない
目じゃない
最後は、深呼吸
さあ、終わった
ラジオは、大人が片付ける
何処の家が、貸してたのかな
普通のラジオだった
電池式なんて
無かったんじゃないかな
一番、近いのは
我が家だったけど
ちょっと、記憶にない
大人が、全部
準備してくれたからね
さあ、とにかく
終わった、終わった
幼馴染のあの子と
遊ぶ約束が、出来たんだ
お姉さんたちが
鬼ごっことか、縄跳びとか
仲間に入れてくれるらしい
兄さん、姉さんの
遊ばない子たちだ
良いことあったな
さあ、ご飯だって
母さんが、呼んでる…