いや、熱はあるけど
体温は、子どもの頃から
かなり、高かった
と、言うより
悪性の扁桃腺を
すっかり、拗らせて
年中、発熱していた
意識は、はっきりしてたけど
がんがん耳鳴りがして
高熱で、寝込むしかない
そんな寝床の中では
目が覚めていても
まるで、うなされていて
でも、なんだか
意識は、冴え渡っていて
きっと、こんな自分は
あの結核で、早逝した
叔父さんみたいで
いや、叔父さんと
まるっきり、おんなじだから
きっと、長くは
生きられない
そうなれば、今の
この考えている
この意識さえ
綺麗さっぱり、消え失せて
それって、なんだ❓
意識が、なくなるなんて
どんなだか、さっばり
分からない、分からないよ
そんな、解けない思いは
消えることなどなくて
ただ、熱にうなれながら
思い始めた、熱い妄想の
息苦しい、思い病みだったけど
熱が、下がると
思いの熱も、下がって
下がって、下がって
氷点下に、凍りついて
溶けることなどない
永遠の死の氷となって
自分の思いの底に
ただ、積もり積もって
やがて、永久凍土みたいに
変わり果てていくんだ
そんなだったのだろうか
そして、いつからか
自分は、意識世界は
なんだかそんな風に
意識の消えることの
その恐怖、その永久凍土を
もう掘り返すことなど
ただ、面倒で
でも、その
凍てついた虚無の闇に
纏わりつかれたままで
そして、意識も凍りつき
でも、なんとか
思いを、巡らせるけど
直ぐに、また
すっかり、凍りついて
もう、熱を
二度と、帯びることなど
なくなってしまった
扁桃腺を、手術してから
熱を出すこともない
寝込むこともない
だから、熱に
うなされることなどない
だけど、やっぱり
ごろごろと、寝そべり
生きていると言う事を
自らに、問うこともしない
こんなに迄、あらゆる、熱
思うことの熱、さえ
失ってしまった自分は
きっと、あらゆることに
とことん、絶望していると
そう言うことなんだろうか…