ずっと、思い出そうしています。春楡のドキュの物語。思い出せないけど。もう、遥かに、昔に観たドキュなので。でも、少しでも、と。
田中邦衛さんが、亡くなって。そう言えば、去年の正月に、吉岡秀隆のお帰り寅さんを、観に行ったよな、とか思い出してたけど。やっぱり、北の国からを、連想して、春楡のドキュに、想いが行ってしまった。
最初に、北の国からを、チラ見した時に、ああ、何か、あのドキュの話に、似ているなと。そう思って、こころにずっと残っていた、ドキュの話を、思い出した記憶がある。
そして、昨日から。もう、あんまり、思い出せない。春楡を、グクってみた。やっぱり、北海道に、多く自生しているようだ。30m以上もの大木になるらしい。そう言えば、あのドキュの春楡も、大っきな木だったなあ。まだ、根をはれない家族を、包み込むような。
春楡の花は、3月から5月に掛けて、咲くのだと言う。だから、春楡。葉のない時期に咲くけど、樹上高くに咲くから、あまり目立たないらしい。でも、今年は、季節の進みが早いから、多くは、もう咲いているんだろう。
公共放送の作品だと思ったけど、民放の作品かも知れない。そんなことも、思い出せない。首都圏の中核都市の郊外の住宅地に暮らす家族。疲れ切った父親。妻子を連れて、北海道の辺地、海辺の町で、ひととしての再出発を、図ろうとした。
バブル期より前の時代。山あり谷ありは、あったけど、未来は、必ず良くなると思えた時代だった。ただ、都会の厳しい競争社会に、ついていけない人たちもいた。だから、田舎に帰ろうと。
ただ、北海道のその過疎の町は、父親の故郷ではない。僅かな伝手で、その田舎での自営の仕事を得ようとしていたのだった思う。甘い思い。案の定、追い込まれる暮らし。北の国からと違って、妻は、支えてくれるけど。食卓を賑やかす為に、海岸へ、家族総出で、打ち上げられた海藻拾いに、行ったりする。
娘の仲の良い同級生のお母さんは、癌で、余命宣告を、受けている。他の父兄に混じって、一見普通に、運動会の応援に来ているが、それは、見せかけ。世の中に、夢の癒しの世界などはなく、どこにも、残酷な日常だけが、横たわっている。次の年には、あのお母さんは、きっともういない。
そして、少し、成長した娘たち。家族の苦境、友だちの苦境などに、揉みしだかれている。一見は、大自然に伸び伸びだけど、両親も支え切れない、残酷さを孕んだ日常を生きている。スタッフが、両親と離れて、そっと彼女たちの本音を、尋ねる。中学を出たら、都会に帰りたい、と。必ず。ただ、すべては、無常で、何処にしろ、ひとに帰れる場所など、無いのかも知れない。春楡の巨木だけは、家族を包んでいるようで、変わらないけど。
そんな感じの話だったと思う。きっと、色々積み重なって、自分の思い込みが、物語を、歪めているのだろうとも、思います。