信じないので、いない
だから、いないんだ
でも、おまえに
先立つ、世界はある
更に先立つ
地球が、ある
太陽系が、あり
天の川銀河が、ある
いや、更に
あらゆる銀河の数多
あらゆる銀河団の数多
そして、大宇宙がある
いや、宇宙は
この一つでは
ないんだとも、言う
しかも、きっと
いや、間違いなく
更に、”なにか”が
きっと、"なにか”が…
あるとは、言わない
それは、"なにか”が
あるとか、ないとか
そう言うこと、なのかすら
分からない
でも、先立っている
それで、おまえは
恐らく、きっと
"なにか”に、帰依している
それは、信仰と
言えるのかも、知れない
ただ、"なにか”は
慈悲とか、憤怒とか
愛情とか、憎悪とか
そんな、些細で
つまらないことどもは
寄せ付けることなく
ただ、屹立している
それで、おまえは
慈悲とか、憤怒とか
愛情とか、憎悪とか
そんなものに
回りを、取り囲まれるけど
いつも、頑なに
振り払おうと
しているのだと思う
ただ、振り払おうとする
それらは、喜怒哀楽
生臭く内在する
感情ともなったりして
みんな、それぞれに
意味を、纏っている
無意味も、あるけど
多分、意味があるから
無意味もあるんだろう
意味は、そうして
奔流となり
洪水となる
振り払おうとする
おまえだけど
結局、意味の波に呑まれて
ただ、漂いながら
いや、溺れたみたいに
息も、つかせず
いや、絶え絶えに
やっと、生きてきた
意味に、触れて
意味を、反芻し
意味を、また
吐き出す
そして、また
意味を、吸い込む
ただ、"なにか"に
いつも、支配されている
そんなおまえは
結局は、意味を
本当には、決して
受けつけない
ただ、おまえの如き
些末な欠片が
決して、"なにか”に
触れることなど
許されるはずもない
とは言え
間違いなく、支配されていて
或いは、生を与えられている
おまえは、"なにか"を
悟ることは、出来ている
だから、日々に
無意味に迸る意味を
その無意味を
悟ることをして
その上で、なお
あらゆるすべてを
その無意味な意味を
ただ、生きていく
そうしているんだろう…
