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日記、日々の想い 

えきでんR134

故郷の街では
正月には、えきでん
昔から、えきでん
天下の険迄、登る
うそみたいだなって
そう思うよね
普通、子どもは
あの山に登って行くって
しかも、遠く首都からって
何人も、タスキは繋ぐけど
最後には、山を登る
大正の時代には
選手は、提灯を持って
登ったらしい
本当、嘘みたいだったな
でも、故郷の街は
R134、海辺を走る
だけど、子どもの頃は
R134は、出来立てで
だから、街中の一国を走った
五輪より昔だ
にいさんは、中学生
なったか、ならないか
友だちと応援に行った
帰って来たにいさんは
指先が、まっしろ
凍傷になりかけ
正月気分の大人たちは
みんな真っ青になった
指を切り落とすかも知れないって
その翌年か、翌々年か
駅伝のコースは、変わった
R134になった
いつもは、揉めているにいさん
でも、一緒に
連れて行ってくれたな
ふたりで、ひとがき潜り込む
真新しい道路を、まず広報車
えきでんが、来ますよって
先頭の選手
伴奏車には、監督
メガホンで、掛け声
一二、一二
あっと言う間
疾走して行く
その辺りは
河口の橋の手前
その先は、中継所
20kmも、走ってきて
なお、疾走して行く
おとなになったら
あんな風に、走れるかな
いや、走れなかったな
当たり前だな
あれは、特別なひと
暫くして、また選手
何人も、競り合って
選手たちの必死
激しい息遣い
おとなになっても
あんな風に、出来ないな
いや、出来なかった
おまえには、当たり前だな
やがて、なかなか来なくなる
最後の選手
息も絶え絶え
人垣も崩れて、まばら
でも、最後まで応援
みんな帰ったけど、応援
にいさんとは
いつも、喧嘩ばかり
いや、怒られてばかり
おまえが、我が儘だからって
でも、そんな時は
にいさんは
お前の肩を抱いて
ふたりで、応援していた
意外と仲良く
最後迄…
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