引きこもり始めた頃か
すべて、断ち切ったつもり
うたを書いていた
メロディーはない
こころで詠唱する
例えば、帰り道
海辺の高校
帰宅部で、早めのチャリ
校庭脇の道路は
お屋敷町の道で
それなりの舗装路
でも、センターラインがない
反対車線の校庭脇には
蓋のない側溝
ふと、思った
おまえは、ふらふらと
あの側溝に、誘われる
ハンドルは、切れない
呑み込まれた気持ち
前輪は、やがて
側溝にはまる
一回転
おまえは、放り投げられ
一回転して
深い闇
永遠の闇
浅い側溝に潜む
永遠の闇…
あの側溝
落ちたことは、あったか
ある訳無いけど
あったような気もする
そんなうたを書いていた
冬の掘りごたつ
みかんの山
ひとつとって、剥く
痛い
しみじみ、沁みる
指の先、ささくれ
痛い
あの時、書いた
みかんとささくれ
そんなうたの記憶