顎を、首筋を
汗だ
じんわりと
伝っている
脂に塗れて
ねっとりとした
その汗は
そのままに
纏わりついて
へばりついてる
そんな、感じだ
エアコンなんて無い
まだ、昼間の熱気
そのままに
冷めやらない
こもったままの寝室
全身が
いや、特に
この額に、額に
顎に、首筋に
扇風機の風を
当てて続けているのに
そのはずなのに
あちこち
纏わりついて
へばりついて
そのままで
その汗は
その脂切った汗は
まるで、この自分の
鬱々と、鬱陶しい
いのちみたいで
そのいのちが
不気味に、滴り
いつも、いつも
ちっとも
思うようにならない
生きていることの
その泥濘に塗れて
そのねばねばした不快に
業を煮やした意識は
何とか、拭おうと
いや、でも
拭っても、拭っても
どうしても
ちっとも、拭い取れない
せめて、寝返る
寝返り、寝返る
でも、何度寝返っても
脂じみた汗は
身体中に
いや、寝落ち出来ない
この意識に
ただ、纏わりついて
いや、覆い尽くして
眠れない熱帯夜は
それ自体が
ねばねばと、溶け始めて
やがて、眠れないままの
悪夢となって
自分を
苛み続けるのだ…