息子の病気③

面会時間が過ぎ、帰ろうとしたある日の事。
担当医に、呼ばれた。

どんな病気なんだろう？・・・
検査の結果が出たのかな？・・・
生きる事に支障は、ないんだろうか？・・・
一瞬にして、色々な事が頭をよみがえった。

担当医は、私を目の前に、なかなか口を開こうとしなかった。
何なの、この沈黙は・・・
凄く凄く、怖かったし、もしかして命に関わる事？とドキドキした。

「先日の検査の結果が出ました。結果、原発性硬化性胆管炎という病名だと言う事が分かりました」
担当医も、どう切り出してよいか迷った表情だった。

・・・病名は、一回聞いただけで覚えられるような病名ではなく、メモをしてもらった。

その後、たんたんと病気の事を話された。
「飲み薬（ウルソ）を飲み、これから治療していきましょう」と言われ、治療できる病気だと言う事は分かった。
でも、一生，飲み続けなければいけない事を知った。

色々な事を話され、何が何だか、良く分からなかった。
頭が、パニックった。

でも、一生治らない病気だと言う事だけは、分かった。
この先、どうなるんだろう？・・・
果たして、生きていけるのだろうか？・・・
胸が苦しかった。

帰り道、車を運転しながら、泣いた。
家に帰っても、ずーっと泣いていた。
涙が止まらなかった。
食事もせず、そのまま布団にもぐりこんだ事を、覚えている。

この時ほど、離婚した夫の事を憎んだ日はなかった。