たろおの小屋

昼間は「聖職者」を演じる永遠の若造「たろお」のつぶやき。
仕事,家族,後遺症・・・。感謝の日々を綴っています。

『職員室から』(号外)家出騒動・・・

2006-02-27 17:50:58 | お仕事
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「今朝8時前ごろ,○年○組(高学年)のA君が家出したらしい。
 クラスを隣の先生に任せて,捜索隊に加わってほしい。」
いつも通りに朝の陸上練習を終え,
おだやかに1校時が始まってすぐのこと。
職員室に忘れた教具を取りにもどった私に,
校長からの緊急の指示。

クラスの子どもたちに3時間分の自習の指示をして,
本人の顔写真と携帯を持って,
分担を確認して車に乗りこむ。

(最寄りの駅と,警察には連らく済みらしいから・・・。)
本人の自宅の周りを探すが,いるわけがない。
前夜に友達数人で予告をしておいたほどに,
今回は計画的な家出らしい。

その足で,車で15分ほどのお寺へ向かう。
4年生の校外学習地。
A君も当然知っている,楽しい思い出の場所。
雨風をしのぐ軒先もあり,隠れる場所もある。
(・・・・・・回ってみよう。)
と向かっている途中,歩道を歩くA君の姿が!

すぐに車に乗せてかぎを閉める。
携帯を取り出すが,学校の番号を検索する時間が妙に長く感じる。
「見つけました!
 ○○寺方面に歩いているところでした。
 今から学校へもどります。」
捜索開始後20分での早期発見。

「どうしたの?」
と聞くと,彼はどんどんしゃべりだした。
「疲れていたんだと思う。」
「そんな時に,お母さんに『おまえなんかいらない』って言われて・・・。」
「お母さんも,疲れていたんだと思う。」
「お母さん,学校にきた?」
「B先生(担任の先生)は何て言っていた?」
「友達は,知っているのかなぁ?」
「お寺の隣の保育園を見たかったんだ。
 ぼくが行っていた保育園。」
「お母さん,今,何してるんだろう?」・・・・・・

車中でのA君の話は,半分以上が「お母さん」についてのことだった。
親が思っている以上に子どもは親のことを冷静に見ていて,
親が思っている以上に子どもは親のことを慕っているのであろう。

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 以前,『日本経済新聞』の日曜版で1年ほど連載していた「職員室から」というコラムに投稿させて頂いていた時期がありました。載ったのは4~5本でしたが,「今も続いていたとしたら,社会に伝えたい」と思った,最近のできごとです。当時の雰囲気で書いてみました。
 

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4 コメント

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つい・・・ (はる)
2006-02-27 21:12:25
疲れていたりすると,叱ることに余裕が無くって,つい傷つけてしまうような言い方をしてしまっていることがあるんだよね・・・





でも,A君何事もなく見つかって良かったよね
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明日はわが身・・・? (malu-malu)
2006-02-28 15:17:30
お久しぶりです。



同じ小学生男子を持つ親として深く考えさせられました。

うちは小3なので、まだ私に「大好きー♪」と抱きついてくる素直さがありますが、高学年ともなるとそうではなくなってくるんでしょうね。



私もはるさんと同様、頭ではいけないとわかっているのに、余裕がない時などつい理不尽な怒り方をしたり、口がすぎることもあったりします。

でもそのままではいけないと、頭が冷えた後「言い過ぎてごめんね」と謝ったり、「大好きだよ♪」と抱きしめるようにしています。

本当は最初から怒りをぶつけないように出来る方がいいんですけどね(^_^;)。



A君のお母さんもA君の気持ちに気づいて、いい親子関係を結びなおすことができるといいですね。
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はるさんへ (たろお)
2006-03-01 20:06:35
家族といえども,日頃の人間関係が大切なんでしょうね。それができていれば,たまには気まずい思いをしても・・・



本当に,見つかって良かったよ。

探している方よりも,探されているA君にとって・・・やっぱり,帰るきっかけが欲しかっただろうし,あの日は,その後に冷たい風雨になったから
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malu-maluさんへ (たろお)
2006-03-01 20:09:46
お久しぶりです。

親といえども人間ですから,いろいろありますよね。

言葉や態度での愛情表現を素直に受け入れてくれる時期にたくさんしておくと,その記憶が「貯金」になりますよね。お互いにとっての・・・
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