今日は久々の美容院です。
かれこれ15年以上お世話になっていたお店がいきなり営業を辞めてしまって、ただいま美容院孤児状態。ほとんど飛び込みのように来たお店なので、どんな仕上がりになるか不安しかありません。
鏡に写る自分の顔を見るのも嫌なので、この時間を使って以前薮つばきさんからご質問のあった「歴史上どんな人物が?」について。
司馬遼太郎さんが「燃えよ剣」で描かれたところの土方歳三さんが私の永遠のヒーローなのはずっと公言していましたが、人生の方向を決定づけたのは足尾銅山の公害問題に一生を捧げた田中正造です。
高校2年生の時、たまたま新聞書評で見かけた林竹二さんの「田中正造:その生と戦いの『根本義』」というタイトルに何故か惹かれ、それから谷中村の鉱毒事件と田中正造の生涯に関連する本を読み漁り、そのまま大学の史学科に進んでしまいました。
「歴史が好き」というのと学問として歴史に向き合うのはやはり本質が違うので、どうしても「誰が好き」という捉え方は出来なくなります(土方さんは別腹で)。
「過去に誰が、どこで判断を誤ってその失敗を引き起こしたか」を検証することで未来に繋げていくのが歴史学だと思っていて、今でもそういう視点で歴史上の事件を捉えてしまいます。
世の中には、複雑な数式を「美しい」と思う人とさっぱり理解出来ない人の2種類の人がいると思うのですが、同じように頭の中に歴史年表があって歴史上のあれやこれやを想像するのが楽しいという人と全く興味のない人と、2種類の人間がいると思います。
三波春夫さんは学者もタジタジとなるほどに歴史に精通していらっしゃって、どんな経緯でその事件が起こったのか、登場人物の一人ひとりがどんな人物でどんな人生だったか、あらゆる文献を読み漁って研究され、全てご自分のお考えで完璧な人物像を構築されていました。だからこそ数々の歌謡浪曲の名作をお作りになることが出来たのだと思います。
生半可に上辺をなぞっただけでは底の浅いものになってしまうことをよくよく理解していたからこそ、Kiinaはこのジャンルに手を出すことはしなかったのではないかなぁという気がします。
Kiinaは22年間「演歌の標本箱」としてあらゆる歌を歌ってみせて、後進のために道を拓いてきたのだから、歌謡浪曲は三波さんと同じ方の半分側の人〜頭の中に歴史年表がある(と思っている)歌手の方が歌い継いでいけばいいのかなと私は思っています。