アルバム7曲め。ここからはカバー曲です。1曲めは織井茂子さん「夜がわらっている」。Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=aRXcRi1fl00
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/104551/
創唱者の織井茂子さんは「君の名は」「黒百合の歌」などのヒットもお持ちでしたね。「夜がわらっている」は昭和33年のレコーディングですから、星野・船村コンビとしてもごく初期の作品になるでしょう。当時70万枚の大ヒットでした。
Kiinaバージョンの編曲を、船村先生のご子息の蔦先生が手がけてくださっています。
65年前の作品ですが、少しも古びた感じがしません。星野先生の詞のセンスが素晴らしいです。
失恋してひとり夜更けにお酒を飲んでいる自分を「酒があたいに惚れたのさ」と自嘲する心情。「ちょっとしんみりしてみただけさ」と精一杯の負け惜しみを言ってみても、最後は悔し涙がこぼれる、その絶望感。随所に散りばめられた比喩の見事さ。
松井由利夫先生が「自分は星野さんのような詞は書けないから」とおっしゃったお気持ちが分かる気がします。
こういうタイプの曲〜酒場でひとりつぶやくように歌う曲〜がKiinaに合うかどうかというのは、なかなか難しい面があるような気もします。やはりKiinaの本領は、はっきりくっきりした明るい伸びやかな歌声にあると思うので。
そこを、最後のサビにファルセットを使うことで、主人公の深層心理の微妙な陰影をうまく表現出来ているのかなと思います。