アルバム5曲めはカバー曲、中条きよしさんの「うそ」です。Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=Kz-XPsi-hqU
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/268438/
Kiinaとともに「日本三大きよし」と呼ばれている中条きよしさん(もうお一方は前川清さんだったり山下清さんだったり、諸説あり)の、再デビュー曲にして150万枚の売り上げを記録した大ヒット曲ですね。
中条さんが全日本歌謡選手権に出ていらっしゃったのも見ていましたが、曲のタイトルが「うそ」というのも、「折れた煙草の吸いがらで あなたの嘘がわかるのよ」という冒頭の歌詞も衝撃でした。
「えっ?そんなので分かるんだ…」(世間知らずの高校生)
歌詞のこの部分は、作詞の山口洋子さんが経営するクラブ「姫」のホステスさんが、「彼氏の家に行ったら、口紅の付いた煙草の吸い殻があった」と話していたのをヒントにされたといつだったか読んだことがありましたが、そのエピソードで今放送されている朝ドラのあるシーンを思い出しました。
ご覧になっていない方にはごめんなさい。
ヒロイン寅子と共に大学で法律を学んだ轟さんが日本に復員して、同郷の友人花岡さんが亡くなっていたことを知って自暴自棄になっている。その様子を、クラスメイトだったよねさんに「惚れていたんだろう?花岡に」と指摘されて狼狽するというシーンです。
それは轟さん本人ですら気がつかなかった感情だったのですが、カフェーで働きながら学んでいたよねさんは「色んな人生模様を見てきたから分かるんだ」と。
この曲のヒロインは、もう何度も恋と別れを経験してきて、今さら折れた煙草の吸いがらのことで恋人を責めたりはしないし、彼が重ねる「うそ」にも気がつかないふりをしている。そうしているうちに別れの日が近づいていくことも分かっているのでしょう。
そんな経験を自らもしてきた女性たちが、まず最初にこの曲を支持したのでしょうね。
山口さんは、ごく平凡な暮らしの中では窺い知れないようなそんな男女の感情の機微を見事に歌詞にされますよね。
中条さんの代名詞のような「うそ」ですが、Kiinaは明瞭なファルセットを用いることで、中条さんとは違う色気を出していると思います。
実は予想外にテンポの速い曲なのですが、Kiinaの「うそ」はファルセットの部分に捨てられる女性の哀しみが凝縮されているように感じました。