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氷川きよしについて ★ by とねりこ

☆お月さん今晩は〜Kiinaの歌声を味わい尽くす♬234

アルバム7曲めからはカバー曲になります。1曲目は藤島桓夫(たけお)さんの「お月さん今晩は」。Kiinaの歌唱はこちら

https://m.youtube.com/watch?v=XoKO45dnzpw

歌詞は歌ネットより。

https://www.uta-net.com/song/113865/

 

藤島さんと言えば、1960年に出された「月の法善寺横丁」もKiinaはカバーしていますね。

こちらは板前修行の旅に出る若者とお店のこいさんの別れを歌っていますが、ふたりは相思相愛で将来を誓い合った仲です。曲中のKiinaの関西弁のセリフが見事でしたね。

 

「お月さん今晩は」は、それより3年前の1957年の作品です。

リンゴ畑が出てくるので、信州か東北が舞台でしょうか。歌の主人公はリンゴ農家の跡継ぎで、家を離れることが出来ない。愛し合ったはずの彼女の方は、(就職などの)やむを得ない事情があったわけでなく単純に華やかな都会に憧れて故郷も彼も捨てたのでしょう。

裏切られた気持ちがいっぱいの歌です。

 

この曲を歌うKiinaの歌唱で私が見事だと思うのは、各歌詞の2行め(2小節めに当たるのかな?)の発音です。

Kiinaの発音というのは、普段「こんなに美しい日本語の発音で歌う人が他にいるかしら?」と思うくらい、一音一音に濁りがなく明瞭。特に「あ」行、「え」行の明るさは惚れ惚れするくらいはっきりくっきり耳に響いてきます。

これが「「お月さん今晩は」では

「田舎の村『で〜』」

「恨んでみた『が〜』』

「二人できい『て〜』」

の発音に、ほんのすこ〜しだけ翳りが感じられるのです。

このほんのちょっとの暗さが隠し味になって、曲全体を哀感のある味わい深いものにしている気がします。隠し味なので、ほんの少しだけ。調味料は入れ過ぎる全部が台無しになってしまいます。

こんな微妙な匙加減は、「やってみなさい」と言われて誰もが出来るものではなくて、やはりKiinaだからこその巧まざる技だろうと思います。

 

そんなわけで、私はKiinaの「田舎の村で」の「で〜♬」を「色っぽいなぁ」と殊更に愛してやまないのです。

コメント一覧

みつこ
とねりこさん、kiinaの歌をきめ細やかに聴かれていること素晴らしいです。とねりこさんが指摘されている語尾を伸ばした最後にわずかに感じられる翳りは以前きよし節で「どのようにして歌われているのですか?」という質問が視聴者からあって、kiinaは「意識していない自然とそうなる」と答えていました。ポップスを歌ってる時にはそれは全然無いので、やはり演歌の情感にkiinaが入り込んでいる時に自然に現れてしまうのでしょうかね?それがkiinaの演歌の魅力ですね。
チャチャチャ
おはようございます。今日は藤島さんの「お月さん こんばんは」曲名だけ聴くと女性歌手の曲みたいに思えます。
とねりこさんの仰るとおり、kiinaは人には分からない心の中の表現がとても上手ですね。言葉も一言一言が綺麗な発音です。聴いている人、一人一人が違った解釈をされても主人公の優しさはkiinaの歌声の中から伝わってきます。だからカバー曲もkiinaの曲なんですね。
とねりこ
「カラスの口紅」「あの娘たずねて」は、実際に都会へ出て行った恋人を探しに行きますね。「僕は泣いちっち」も「僕も行こう」と決意しています。
「お月さん今晩は」の主人公は、探しに行きたくても行けない環境なのでしょう。
逆に、この時代の農家の次三男は、仮に田舎に恋人がいても、心を残したまま都会へ出て行かざるを得なかった。「別れの一本杉」や「北国の春」の世界ですよね。

私は専門家ではないので、Kiinaの発音へのこだわりは単なる勝手な思いこみかもしれません。
この部分とは対照的に「リンゴ畑のお月さん 今晩は」のKiinaの歌声が限りなく優しくて、逆に毎晩月に向かって話しかける主人公の孤独が胸に迫ってくるのです。

Kiinaはテクニックや上っ面でなく、いつでも主人公の心に添って歌うので、目をつぶっても情景が目に浮かんできます。
カバー曲は年月を越えて大衆に愛されて残った名曲ばかりなので、どの曲もKiinaの歌声を通してしっかりその世界が再現されるのだと思います。
せり
おはようございます。「お月さん今晩は」こういう男の人が故郷を捨てて離れて行った女の人を思って歌う歌って意外と多いですよね。kiinaもオリジナルやカバーでいくつか歌ってますね、カラスの口紅、ぼくはないちっちetc.それにしてもとねりこさん、kiinaの歌唱の繊細な部分を良く聴き込んで、さすがです。私などはうまいなあ~いいなあ~で満足しちゃって。
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