今日は友人2人と誘い合って、東京・千駄木にある旧安田楠雄邸という旧いお屋敷で新内節を聴いてきました。
新内と言えばKIINA.の「三味線旅がらす」。今はなかなか本物の新内節を聴く機会はありませんが、千駄木に隣接する谷中に新内の一流派である岡本流のお稽古場がある関係なのか、安田邸では一年に一度こうした催しが開かれています。
本演奏が始まる前に、家元の岡本宮之助さんと連れ弾きの方がお庭の中を流してくださり、軒下に立ち止まって「蘭蝶」の有名な一節「縁でこそあれ 末かけて…」を語ってくださいました。
「味わい尽くす♬」の「三味線旅がらす」の記事でもご説明しましたが、新内で最も有名なのが「蘭蝶」と「明烏」。中でも「蘭蝶」の中で男芸者蘭蝶の妻のお宮が遊女此糸(このいと)に「夫と別れてくれ」と直談判する下りの「縁でこそあれ、末かけて、約束固め身を固め…」は、「縁でこ」で通じるほど新内の代名詞になっています。
松井由利夫先生は「三味線旅がらす」の2番にこのセリフを入れることで、主人公が新内流しになったことを「新内」という言葉を使わずに表現されました。
江戸時代の新内流しは、遊廓街や下町を三味線を弾きながら歩き、建物の中から声がかかると軒下や座敷で語りを披露したのだそうです。
岡本さんは安田邸の縁側の外で「縁でこ」の一節を語ってくださり、かつての新内流しの様子を再現してくださいました。
KIINA.の歌う「三味線旅がらす」の主人公も、半ば人生を捨てたように気ままに三味線を弾いては新内で心中物を語ったのでしょう。
私は「三味線旅がらす」の映像もMVの中で5本の指に入るほど大好き(KIINA.の着流し姿がめちゃくちゃ色っぽい)なので、今日は本物の新内「蘭蝶」が鑑賞出来て大感激でした。