アルバムカバー曲3曲めは、コロムビアの大先輩島倉千代子さんの「東京だョ おっ母さん」。
Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=gx7h9lJEQ6o&pp=ygUe5p2x5Lqs44Gg44On44CA44GK44Gj5q-N44GV44KT
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/66480/
1957年(昭和32年)の発表曲です。前年発表された美空ひばりさんの「波止場だよ お父つあん」を聴いた島倉さんが、同じような曲を歌いたいと船村徹さんにお願いして作っていただいたと聞いています。
戦争で働き手を失った一家は、僅かな遺族年金では生活も苦しかったでしょう。主人公も東京に出てきて働いて、12年経ってやっとお母さんに念願の東京見物をさせてあげることが出来たんでしょうね。
島倉さんの絹のような優しく繊細な歌声が年老いたお母さんの手を引く主人公とピッタリと重なります。
島倉さんの代表曲の一曲、さすがに男性歌手でカバーしている方は少ないようです。
サブスクでは大江裕さんのカバーが配信されていました。
Kiinaは男性ですが、無理に女性らしく作ることなく、それでも生来の優しい性格が自ずと滲み出る歌声でこの曲を歌っていますね。
特に「おっ母さん」と語りかける部分は、きっとKiinaが福岡のお母さまを思い浮かべて歌ったのでは?と想像されます。
二重橋、靖国神社、浅草は、昭和30年代の東京見物の定番コースだったのでしょうね。
Kiinaの「母さん日和」はこの曲をモチーフに松井由利夫先生が作詞してくださったと思うのですが、50年後の現代の東京見物に松井先生は敢えて同じコースを選ばれたようにも思います。
3年前に母に東京に来てもらった時に、一緒に靖国神社を参拝したのは、やはり「東京だョ おっ母さん」の曲が私の脳裏のどこかにあって、伯父を戦争で亡くした母が喜ぶかもしれないと思ったからでした。
でも、大きな鳥居を見上げても立派なお社を拝んでも、何か胸に迫るものがありません。伯父はここにはいないような気がしました。
伯父の魂はどこへ還っていったのでしょう。出征する時に出てきた故郷の鉱山長屋は、もう跡形もありません。