※大江戸出世小唄〜1935年(昭和10年):KIINA.2016年
https://m.youtube.com/watch?v=o5dfN8PWj_o
※おてもやん〜1935年(昭和10年):KIINA.2018年
https://m.youtube.com/watch?v=SBP5QnEmlqo
「大江戸出世小唄」は昭和10年、高田浩吉さん主演の同名の映画の主題歌として発売されました。
高田さんは大変な美男で既に時代劇映画のスターでしたが、ちょうど無声映画からトーキーに切り替わる端境期。関西ご出身の高田さんが標準語を習得するためにチャレンジしたのが小唄だったそうです。これが大ヒットしたことから高田さんは「歌う映画スター」第一号と呼ばれています。
戦前の歌う映画スターで私が思い浮かべたのは高峰三枝子さんと李香蘭さん(戦後は山口淑子さんに改名)でしたが、おふたりが映画の中で歌を歌われたのはもう少し後でした。
KIINA.は高田さんの曲を「大江戸出世小唄」の他に「白鷺三味線」と「伊豆の佐太郎」もカバーしていますね。どれも小唄風の「軽み」が耳に心地よいです。
力強い男唄も良いけれどKIINA.のこの3曲、凄く魅力的だと私は思うのですが。
劇場コンサートで、こんなそこはかとない色気を感じさせる歌もまた歌ってくれたらいいな♬
「おてもやん」については、その成り立ちを「味わい尽くす」でも簡単にご紹介しましたが
https://kumamoto.guide/look/terakoya/142.html
元歌は熊本地方で芸者さんのお座敷唄として歌われていたとか。
これが現在歌われている形で広まったのが、芸者をされていた赤坂小梅さんが昭和10年に吹きこんだ「おてもやん」だったそうです。
赤坂小梅さんは歌の歌える芸者さん、いわゆる「鶯芸者」さんです。
戦前は女性の職業選択の幅が狭く、歌手の社会的地位も低かったため、歌の歌える芸者さんは大変重宝されたのだそうです。市丸さん、小唄勝太郎さん、赤坂小梅さんが鶯芸者の三羽烏と称されていましたし、この時代は他にも数多くの鶯芸者さんが活躍されていたようです。
その系譜は戦後の昭和30年代のお座敷ソングブームに引き継がれましたが、そう言えば私が小さい頃の紅白歌合戦には芸者歌手の方も出演されていたように記憶しています。
KIINA.がカバーした「おてもやんは、江利チエミさんが昭和34年に「黒田節」とともにリリースしたバージョンになります。
とてもリズミカルでテンポがよくて、江利チエミさんらしいジャズ風味の民謡になっていますね。
チエミさんのうた真似をしているのではないのに、チエミさんの歌い方の核の部分をしっかり捉えているのが、さすがKIINA.です。