「演歌名曲コレクション 大井追っかけ音次郎〜青春編〜」大トリは「無法松の一生〜度胸千両入り〜」です。
https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCP-31460.html
創唱は村田英雄さん。ご存じのように「無法松の一生」と「度胸千両」は、題材は同じ岩下俊作さんの小説「無法松の一生」(発表当初のタイトルは「富島松五郎伝」だったと思います)と、それを元にした映画「無法松の一生」です。本来別々の独立した作品ですが、「無法松の一生」の2番の部分に「度胸千両」を差しこんで歌われることが多いですね。
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/57632/
ちなみに、2番の歌詞はこのようになっています。
https://www.uta-net.com/song/63556/
作詞の吉野夫二郎さんは浪曲の作家でいらして、歌謡曲はこの2作品以外お作りにならなかったそうです。
余談ですが、村田英雄さんの自伝「俺が村田だ!」の中に、「度胸千両」が作られた時の秘話が書かれていました。
古賀政男さんがお弟子さんだった鶴岡雅義さんに詞を渡し、「曲をつけてみなさい」と。鶴岡さんがどうにも作りあぐねているところへ、かつて浪曲師だった村田さんが「こんな感じではどうか♬」とアドバイスされ、それを古賀先生が採用されたとありました。真偽はともかく、何千曲という古賀政男さんの作品の中には、そういった形で発表されたものもあるのでしょうね。
さて、Kiinaの「無法松」です。
デビューしてから長い間、若手の演歌歌手はほぼKiinaひとりという時代が続いたので、ご自分のコンサートの他にも様々なシーンでKiinaは「無法松」を歌ってきましたし、ファンそれぞれの方に一番好きな「マイベスト無法松」がおありなのではないでしょうか。
アルバムでも2014年に再レコーディングしたものを出していますね。
それでも私はこの2001年の、23歳のKiina、まだまだ粗削りな「無法松」が大好きです。先にご紹介した林先生が指摘されたような「こうすればもっと良くなる」部分は、発声上でもテクニック上でもたくさんあるのでしょう。
でも、この若駒のような勢いある歌いっぷりはこの時期にしか出せなかったものだと思います。
「度胸千両」の最大の聴かせどころとも言える「小倉名代は〜〜無法松」から「度胸〜〜千両のあばれうち〜〜♬」の流れのKiinaの声を聴いていると、22年前にタイムスリップして「この若者と一緒に歩いていきたい。この若者の将来を見届けたい」という気持ちになります。
ご本家の村田さんは当然ですし、この時のKiinaより上手く歌える歌手は沢山いるでしょう。
だから優劣の問題ではないのです。
私はKiinaの「無法松」が好き!
これこそが推し活の醍醐味、推しを持つことの幸せなのだと思います。
2008年の第40回「思い出のメロディー」で、Kiinaは映像の村田さんとの共演で「無法松」を歌いましたね。
この時の袴姿の堂々たる歌いっぷりも目に焼きついています。