せっかくの機会ですので、Kiinaの商標登録問題の原点である「氷川きよし」という芸名の商標登録について、これまで私が特許庁の公式サイトをを追っていて知りえた範囲でご説明させていただきますね。
そもそもの発端は2012年5月3日(ハワイ現地時間2日)に長良じゅん会長が急死されたことにあります。
ご存じのように長良会長は芸能界でも屈指の実力者として知られていました。
どなたかの入れ知恵、もとい、アドバイスがあったのでしょう。神林社長はその年の秋口から、事務所所属の主要な歌手の皆さん〜Kiina始め山川豊さん、田川寿美さん、水森かおりさん、岩佐美咲ちゃんの芸名を次々と商標登録申請しました。
対象となる商品は、音楽活動から写真、グッズ、提灯、うちわ、ハンカチ、クッション、まくら、etc.はっきり言って呆れ返るほど多岐に渡っています。
申請からほぼ1年の審査期間を経て、登録が認可されたのが2013年8月です。
商法の専門家の弁理士の方が「タレントの芸名を商標登録するのは、ごく一般的なこと」と解説されていましたが、「よくあること」ではあっても、必ずしも「芸能界の常識」なわけではありません。
実際に長良事務所に所属していても辰巳ゆうと君を事務所は登録申請していませんし、山川さんにしろ田川さんにしろ、何年も前から長良事務所に所属していて、この年になって俄かに商標登録申請したのです。
恐らく長良会長亡き後、他からの引き抜きもしくは独立を防ぐ手立てを色々考えたのでしょう。その時の神林社長の被害妄想に近い強烈な危機意識は分かるような気がします。
商標登録は認可されると10年は有効になります。「氷川きよし」の有効期限が切れるのが2023年8月。特許庁のサイトを確認すると、事務所は「氷川きよし」名の商標権存続期間更新登録申請書を提出していました。
登録の更新は新規登録と違って、よほどの不備がない限りそのまま認可されます。
「事務所は『氷川きよし』の芸名を手離さない気なんだな」とは思いましたが、同時に「でも、Kiinaは『氷川きよし業を卒業』って言ってたし、この先『氷川きよし』を名乗らずに「Kiina」で行くなら、別に不都合はないのかな?」とも思ったのです。その時は。
ですが、事務所は「氷川きよし」名の継続申請を出しながら、同時に「Kiina」と「KIINA」を新規に商標登録申請していたのです。
2013年に「氷川きよし」名と同じく商標登録が認可された「山川豊」「田川寿美」「水森かおり」「岩佐美咲」の芸名を、事務所は更新手続きしていません。
昨年暮れまで私はこの4人の方のお名前が登録されていたのを確認していますが、現在は美咲ちゃんを除いた3人の方は「検索結果は0件でした」となっています。商標権が消滅しています。
事務所は「氷川きよし」の商標権だけを10年延長したのです。
昔の考え方と違って、芸名の商標というのは特に音楽活動においては、権利者以外は使ってはならない、というものではないそうです。
長良事務所が「氷川きよし」の商標権を持っていても、事務所を独立したKiinaが「氷川きよし」を使えない、ということはないのだそうです。
ただ、Kiinaのいちファンとして、そういった商法上の常識が分かっていながら、敢えて「氷川きよし」の10年延長と「Kiina」並びに「KIINA」の登録を断行しようとした事務所に対して良い感情が持てないのは確かです。
そういったことも含めて、Kiinaと事務所が今回円満な形で独立問題を解決出来ていたなら、これほど心穏やかなことはありません。
面倒なことは何も考えず、気持ちよくKiinaの再スタートを応援出来る毎日でありたいと、心から願っています。
ちなみに。
「氷川きよし」の名前が商標登録されていると教えてくださったのはKii友さんです。それまで私は商標登録のことなど思ってもみませんでした。