2019年4月24日「大丈夫/最上の船頭」のMVと前年の国フォスペシャルコンサートの映像を収録したDVDが同時に発売されました。多少の前後はありますが、この時期にスペシャルコンサートのDVDが発売されるのは恒例のことでした。
ですが、この年異変が起こりました。
あるKiinaファンがスペシャルコンサートの映像から「限界突破×サバイバー」のパフォーマンスシーンを非公式に(というか、明らかに違法でしたが)YouTubeにupしたのです。
この動画はたちまち拡散されました。
あの時国際フォーラムで実際に目撃した人以外、このめちゃくちゃカッコよくロックをキメている歌手が、あの氷川きよしくんだとはにわかに信じられななかったでしょう。
動画を見た私は内心複雑な心境でしたが。(カッコいいけどなぁ、でも違法だし…)
ところが、創業以来110年の歴史の中でおよそ機を見るに敏だったことが一度もなかったコロムビアさんが、この時だけは素早い動きを見せました。
電光石火で「限界突破×サバイバー」の動画を"公式に"(ここが大事!)upしたのです。
この動画はたちまち驚くほどの再生回数を重ね、瞬く間にTwitterのトレンド1位に。国文学者のロバート・キャンベルさん、作家の五木寛之さんはじめ多くの名だたる方々が絶賛の声を寄せるほどの事件になりました。
五木寛之さんがコラムに書かれた「この姿を年末の紅白歌合戦で見たいものだ」という願いが現実のものになると、この時点(6月)その可能性を考えた人は、Kiinaご本人も含めいったいどれくらいいたでしょうね。
「限界突破×サバイバー」の動画がバズったのは、「演歌歌手の氷川きよしがロックを歌った」からではありません。
その姿が純粋にカッコよかったから。演歌歌手だろうが何だろうが関係なく、そのロックが本物だったからです。世間がひとりの本物のロックスターをこの動画の中に発見したのです。
それでもやはり思います。
歴史に「タラレバ」は禁句だけれど、もしあの時Kiinaファンの某君が国フォのDVDから限サバの動画をYou Tubeに上げなければ、その後の展開はまったく違ったものになっていたのではないかと。
違法な行為ではあったけれど、Kiinaがこの歌を武器に目の前の壁をぶち破る手助けになったことは間違いありません。
音楽ジャーナリストの宝泉薫さんの↓の分析は、うなづける部分と「そうかなぁ」と思う部分がありますが、読み応えはあります。
「プリンス氷川きよし驚愕のヴィジュアル 「ズンドコの人」から華麗なる変身」
https://dot.asahi.com/articles/-/101612?page=1
あれから5年、Kiinaは果たして宝泉さんのおっしゃるところの「キワモノから怪物へ」進化を遂げたでしょうか。
いいえ。Kiinaは永久に進化を止めない人。「ズンドコのひと」から「限界突破のひと」に。そしてさらに次の進化=変身を遂げようとしています。