はぁーっと息を吐けば、そのまま白くなる空気。
この頃、気温が下がってこんな朝も多い。
昔、実家では猫を飼っていた。
シッポの長い明るい茶色の虎模様。
日向の廊下にゴロンと横になっている彼は、日差しに目を細めていた。
モフるともっとかまってくれというように柔らかいおなかを天井に向けてくる。
ワシワシっと揉むようなでると、デレっと溶けてしまうように廊下に伸びていく。
グルグルとノドを鳴らして、満足してる様子が幸福感をこちらにもくれる。
「寒い」
と言いながら、彼に近寄る口実とか。
何かで読んだ記憶があったが、その時の私には、そんな意図もないが。
寒い日に廊下で会うとお互いがそばに居てもよいと許してくれる空気があり、互いの体温であったまるのだ。
もう彼は生きていないのだが、同じ模様の猫を見るとつい目で追っていってしまうクセが残っている。
寒い日が来るとのんきに日向ぼっこするのは、私を待っていてくれたりしたのかなぁときいてみたかった。
見かける猫のほとんどがスィッと身を翻して逃げていってしまうのは、仕方ない事なのだが。
寂しい。